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驚異的なペースで溶けていくグリーンランドの氷床

記録的な速さで氷床が融解

 暖かい季節でも気温が10℃を超えることはまれで、冬の平均気温はマイナス10℃からマイナス20℃まで下がるという、カナダ北東に位置するグリーンランド。そのグリーンランドの氷床が記録的な速さで溶けているという報告がありました。欧州からの熱波による暖気が7月29~30日にグリーンランドに到達し、日中の最高気温は24℃まで上昇し、歴代最高記録を更新したというのです。

NASAによると、8月1日だけで氷床から120億トン以上の水が海へと流れ出し、7月30日~8月3日までの間に氷床表面の約90%が融解しました。この期間の氷の流出量は推定550億トンで、同期間の平均値を約400億トンも上回っています。

 氷床はグリーンランドの約80%を占めており、場所によっては厚さが2~3kmにもなります。近年、氷床からは何千トンという氷が溶け出し、毎年1ミリメートル程度の海面上昇が発生しています。学者によると、氷床は「すでに死刑判決を受けている」状況にあり、このままではグリーンランドから氷床が無くなってしまうかもしれません。それだけでなく、バングラデシュ、フロリダ、イングランド東部など、海面上昇に対して特に脆弱であることが知られている多くの地域では、自分の住居を失う人たちが出てくる可能性もあります。

 また、氷の溶け出す速さだけでなく、氷の汚れも見過ごせない問題です。BBCの報告では「歩いていると、月に到着したような気分」とまで言われています。かつては大気汚染が原因だと考えられていた氷の汚れですが、近年の研究で小さな藻類が溶けている氷の中で繁茂していることが分かりました。藻類は氷の反射を悪くし、太陽光線を吸収することで、氷の溶けやすさを加速させています。この異常増殖も、気温上昇が原因です。

氷床を未来に残すために

 危機的な状況にあるグリーンランドの氷床ですが、2015年のパリ気候変動枠組み条約に概略が示されたように、今後CO2の排出を削減できれば、融解を抑制できるかもしれません。

 氷床を守るために、様々な人達がアクションを起こし始めました。グリーンランドの若い気候活動家たちや、地元の学生は「環境保護ストライキ」を始め、氷床が置かれている状況を世界中に発信しはじめました。また、研究段階ではありますが、航空機から排出されるCO2の一部を吸収する試みも始まっています。さらに、グリーンランド南部の氷河にほど近いナルサルスアーク空港近くで、ここの気候でよく育つことで知られているシベリアカラマツの苗木6000本が植えられました。

 とはいえ、氷床を守るために残された時間はあまり長くありません。専門家は現状のペースでは2100年までに、グリーンランドだけで1メートル以上の海面上昇が起きる可能性を指摘しています。

(エコイスト編集部)

2019.09.23