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【SDGsカジュアル講座#3】貧困問題の解決なくして、SDGs達成は望めない

絶対的貧困と相対的貧困
SDGsが掲げる17の目標の一番はじめに掲げられているのが「貧困をなくそう」です。世界には、1日当たり1.9ドル未満で生活している、極度の貧困(絶対的貧困)の状態で暮らしている人が、人類の10分の1(7億人)以上いるといわれています。安全な水や食料の確保もままならず、衛生的な住居やトイレなどを利用することができず、ちょっとした病気やけがで簡単に命を落としかねない、ギリギリの状態に置かれているのです。戦争や内戦による社会基盤の破壊、政治的・社会的な混乱、砂漠化など環境要因による国土の荒廃、食糧不足、などといった様々な問題が、原因でもあり帰結でもある、非常に深刻な事態です。

一方、先進国にも貧困は存在します。その多くが相対的貧困と呼ばれるもので、正確な定義は難しいのですが、簡単に言うと、平均的な所得の半分以下で生活している人々です。その国の生活水準に対して適正な生活を営むことができない人々、という事です。あくまでも集団の中での相対的な所得水準で決まるので、該当する人は先進国にも発展途上国にもそれぞれ存在します。

絶対的貧困と相対的貧困はレベルの差こそあれ、いずれの貧困も「将来への希望を持てない」という意味では同じです。将来への希望が持てなければ、将来へ向けて努力する意欲も生まれず、結果として貧困が親から子へと受け継がれていく「負の連鎖」が生まれます。それによって貧困層が固定化し、経済格差がますます拡大していくことになってしまうのです。

貧困は、相対的な弱者である、子供や女性により深刻なダメージをもたらします。特に子供の貧困は、子供の健康や健全な発育を阻害するだけでなく、子供の自己肯定感や学習意欲を奪い、将来の可能性の芽を摘み取ってしまうために、負の連鎖、貧困の再生産に繋がってしまいます。

例えば日本では、“7人に1人の子供が相対的貧困の状態”にあるといわれています。これは、先進国では最悪の水準で、相対的貧困の状態にある世帯の半分がひとり親世帯であることと密接に関連しています。ひとり親世帯では仕事や家事、育児を一人で回さなければならないために、経済的・時間的・精神的にも子供とのコミュニケーションにも余裕がないのです。日本では特に、母親が子供を一人で育てるシングルマザーのケースが多く、女性の貧困とも深く結びついている問題でもあるのです。

世界の貧困対策
そのような家庭環境にある子どもを救うためには、学習や食事などのサポートのほか、居場所の確保など心のケアが重要です。「放置されている、だれにも顧みられることがない」と、子供が感じることのないよう積極的なサポートが必要なのです。これまでエコイストでは、世界中の様々な貧困対策の例を紹介してきました。そのうちの2つが以下となります。

●イギリス・マンチェスターのファッションデザイナーの取り組み
自分のファッションブランドを立ち上げ、難民によるハンドメイドの商品を販売しています。この収益の一部が難民支援に充てられるだけでなく、難民自身がデザインや工芸の技術、語学力を身に着ける機会を得、次の仕事にステップアップするきっかけになっています。
エコイストの記事:https://www.ecoist.life/news/1418

●ベトナム・ハノイでの取り組み
ベトナム・ハノイでは、貧困層の若者を対象に、ホスピタリティのトレーニングセンターが開設されています。東南アジア有数の観光地ハノイでは、これまでより洗練されたサービス、ホスピタリティが求められるようになってきています。若者がホスピタリティのスキルを学ぶことで、将来にわたってより安定した仕事を得ることができるようになります。
エコイストの記事:https://www.ecoist.life/news/1950

これらの事例に共通して言えることは、いずれも単発の対策ではないということです。人々が貧困から抜け出して、自立していくことができるような仕組みづくりこそが、貧困を解消するための取り組みには重要だといえます。

個人ひとりの力では、そこまでの大きな支援を行うことが難しいのは事実です。もちろん、国や各自治体も取り組んではいますが、認定NPO法人(※1)でもひとり親家庭の支援を行っていますので、そのような団体を通じて、単発的な支援、継続的な支援、ご自身の可能な範囲で支援することも大切なことです。

SDGsの理念「誰一人取り残さない」と、最初に掲げられた「目標1貧困をなくそう」は、誰かを犠牲にすることで誰かの目標を達成する、という事にならないための戒めでもある、と私たちエコイストは考えます。目先の利益のために誰かを取り残す、誰かを犠牲にする、ということでは、世界の不安定要因の解消は見込めず、いつまでたってもSDGsの達成は望めないのです。

※1
認定NPO法人:数あるNPO法人のなかでも、一定の基準を満たしているとの認定を受けたNPO法人。現在は全体の2%。(内閣府NPOホームページ『特定非営利活動法人の認定数の推移』より)

Photo:ecoist

(エコイスト編集部)


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