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【 SDGsカジュアル講座#6 】次世代社会の電気はどうなるの?

これまでSDGsカジュアル講座では、「なぜ、持続可能な社会を目指すのか」や「貧困問題の現状と対策」、「地球温暖化の原因とこれから予想される被害」など、SDGsに関係する問題や課題について解説してきました。第6回となる今回は、持続可能な次世代社会を構築するために必要な課題の一つである「次世代社会の電気」を取り上げたいと思います。

化石燃料からの卒業がキーワード
第5回では、地球温暖化・気候変動問題の主要な原因となるCO2の削減には、”化石燃料からの卒業”が必要であるということを説明しました。化石燃料からの卒業というと、それに代わるエネルギーとして原子力と再生可能エネルギーが考えられますが、2011年の東日本大震災で起こったフクシマの例もある通り、原子力は持続可能であるとはまったく言えません。再生可能エネルギーこそが、持続可能な次世代社会の構築に必要なのです。

再生可能エネルギーを化石燃料に代わる規模で活用するためには、これまでと同じ社会のしくみでは、持続可能な次世代社会とはならないのです。

では、再生可能エネルギーを使うことでどんな社会に変わっていくべきなのか?それは、「循環型社会」に変わっていくべきであるとエコイスト編集部は考えます。持続可能な社会を構築するためには「循環型社会」に移行する必要があるのです。

 

循環型社会とは
「循環型社会」とは、3Rといった資源循環や、化石由来資源の消費の抑制、自然環境保全などさまざまな課題を統合した、新しい社会の在り方についての概念です。化石由来資源の消費の抑制イコールCO2排出抑制という観点から説明しようと思います。

現在、石油・石炭といった化石燃料を大量に消費する大きな要因となっているのが、火力発電と自動車です。製造業をはじめとするあらゆる産業や、私たちの社会を稼働するために欠かせない電気と、ヒトやモノを移動させるためのエネルギーの多くを、これまで化石燃料に頼ってきました。

最近では少しずつ自動車のEV化を目指す取り組みも盛んになってきているので、そのぶん、化石燃料の使用が減っていると勘違いされている方も多いと思います。しかし、EVを動かすための電気の多くが化石燃料由来なので、今のままでは電気自動車の普及がダイレクトにCO2排出の削減とはならないのです。

これまで私たちの社会で構築されてきた電気のインフラは、大規模な発電所で集中的に発電した電気を、大規模な送電網で遠くまで運んで利用する、というスタイルが主流でした。効率的かつ安定的に電気を供給するために、これまで構築されてきた仕組みです。

しかし、いつまでもこのようなスタイルで電気の利用を続けていては、大量のCO2を排出して環境に大きな負荷をかけるばかりでなく、送電網を建設・維持するための膨大な資材は資源利用の抑制という観点からも好ましくありません。

循環型社会を実現する必須条件
では、これらの問題を解決するにはどうしたら良いのでしょうか?その答えが、「化石燃料の消費を卒業して、再生可能エネルギーの利用を最大化」し、「使用する場所に近いところで発電する”分散型電源社会”へ移行していていくこと」です。これこそが、「循環型社会」を実現するための必須条件なのです。

では、その「循環型社会」に移行するためのカギとなる、再生可能エネルギーについて説明します。

 

再生可能エネルギーの種類と諸外国
再生可能エネルギーにはいくつかの種類があります。水力、太陽光、風力、地熱発電が代表的なものです。再生可能エネルギーは、CO2などの温室効果ガスを排出することがないのが最大のメリットで、地球温暖化・気候変動をこれ以上進行させないためには絶対に欠かせないエネルギーです。また、燃料となる資源を輸入する必要も無いというのは、資源を海外に頼っている日本にとっても大変重要であるのです。

このような大きなメリットを持つ再生可能エネルギーの利用は、世界中に広がっています。特にヨーロッパ各国の取り組みは進んでいて、2019年時点で、EU28か国での再生可能エネルギーの電力割合は34%に達しているうえ、電力以外の熱分野や交通分野を含む、全エネルギー消費の18%が再生可能エネルギーで賄われています。特に再生可能エネルギーの利用が進んでいるデンマークでは、再生可能エネルギーによる発電は84%にも達しています。

中国でも再生可能エネルギーの利用は進んでいて、2019年時点で、再生可能エネルギーによる発電は、全体の26%にも達しています。まだまだ非効率な産業分野が残り、CO2の排出も飛びぬけて多いとされていて各国から非難されることが多い中国ですが、圧倒的に大きなエネルギー需要を持つ中国で再生可能エネルギーの利用が進むのは、地球温暖化・気候変動の阻止にとっては大きなプラス要因となります。

 

日本の再生可能エネルギー
一方、日本では、2019年時点で、国内で供給されている電気の18%ほどが再生可能エネルギーによるものです。原子力発電の建設ラッシュが東日本大震災まで続けられてきたことや、法整備の遅れなどから、諸外国に比べ大きく遅れを取っている日本ですが、ようやくこの水準にまで増えてきました。近年の増加の多くを支えてきたのが太陽光による発電です。再生可能エネルギーによる電気の固定価格買い取り制度により、多くの事業者が太陽光発電に取り組んだことによる成果です。今後は、太陽光発電による電気の自家消費や、風力発電の普及などにより、ますます再生可能エネルギーが拡大していくことが期待されています。

循環型社会に移行するために私たちが出来ること
これまでのお話で、「循環型社会」に移行する必要はご理解いただけたかと思います。しかし、そのための“分散型電源社会”を実現する、火力発電からの卒業、電力供給システムの再構築、といった大きな課題はあまりにも壮大で、私たち個人の力では実現できませんが、循環型社会に移行していくことの必要性を私たち一人ひとりが認識することは大変重要なことです。

では、私たちが日常生活でCO2を減らすためには、具体的に何ができるのか。最後に、その具体例をいくつかご紹介します。

①再生可能エネルギー比率の高い電力会社から電気を買う
電力会社によって、どの様な発電方法の電気を供給しているかを示す電源構成は異なっています。再生可能エネルギー比率の高い電力会社、再生可能エネルギーを推進している電力会社の供給している電気に切り替えることで、再生可能エネルギーの普及拡大をサポートすることも大きな意味があります。ちなみに、電気の切り替えは、ネット申し込みで簡単に行えます。

②自分で使う電気を自宅の屋根で発電する自家消費を導入する
ソーラーパネルや蓄電池など、必要な資材は以前に比べるとかなり価格が下がっています。初期コストが少し掛かりますが、購入する電気を減らすことができ、長期的にはコストメリットが大きいことと、蓄電池も導入していれば、万が一の災害の際にも電気が使用できるという大きなメリットがあります。

③ゼロエネルギーハウスに住む
建物のエネルギー収支をゼロにするのがゼロエネルギーハウスですが、新たに新築で購入される際には是非ご検討されることをお勧めします。高気密・高断熱の建物に電気の自家消費のシステムを備え、コンピューターによって制御するハイスペックな住宅です。

④電気自動車に乗る
ガソリンで動く自動車ではなく、電気自動車に乗ることで、当然、CO2の排出量を削減することにつながります。走行距離も長くなってきたことと、充電ステーションの数も増えてきていますので、新車を購入される際には、ぜひ、ご検討されてみては、いかがでしょうか。

⑤節電する
エアコンの設定温度を変えるだけでも電気の消費量は変わってきます。こまめに、使用していない部屋の電気を消したりといった節電を行うことで、需要が少なくなれば、発電量を減らすことができ、結果、火力発電などのCO2を削減することにもなります。

⑥必ずマイバッグを持参する
日本国内のスーパー、コンビニでも買い物袋の有料化が2020年7月から始まりました。もちろん、石油由来では無い買い物袋も増えてはいますが、元々の生産量を減らすことでCO2の削減になりますので、お買い物の際にはマイバッグを持参することを日常生活でのスタンダードにされることをお勧めします。

⑦買いすぎをしない、賞味期限をチェックする
食品を買いすぎて、食べきれなくて捨ててしまったり、気が付いたら賞味期限が切れていたり、ということも多いのでは無いでしょうか。いわゆる、フードロスというもので、ゴミとして捨ててしまって焼却されることで、CO2が排出されますので、必要な分だけを購入することを心がけることも重要です。また、生ゴミなどは、専用の容器を使用して、堆肥化する、コンポストするということも環境に優しい行動です。

SDGsには再生可能エネルギーが必要不可欠
再生可能エネルギーの普及は、SDGsで掲げられたゴールの中でも重要な意味合いを持っています。これまでエネルギーインフラに投資することができなかった資源のない国でも、再生可能エネルギーによる電気があれば、産業が生まれ、それによって雇用が生まれ、貧困を克服し、人々の生活水準の向上につながります。また、それと同時に気候変動を抑制する対策にもなり、地球環境の維持にもつながります。再生可能エネルギーが、SDGs達成の命運を握っているといっても過言ではないのです。

(エコイスト編集部)


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2020.09.01