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進む「EVシフト」 環境とモビリティーの熱い関係

●EVでCO2の大幅削減に期待

 ここ数年、日米欧中の自動車メーカーが、電気自動車(Electric Vehicle=EV)に関する動きを急速に活発化させています。「EVシフト」などと表現され、メディアでもしばしばニュースになっています。

 台風の目となっているのはアメリカのEVベンチャー、テスラです。GoogleやeBayなどの創業者が出資して2003年に設立したテスラは、2018年には24万5000台ものEVを販売するまでに成長。現在は、中国に年間50万台もの生産能力を持つ工場を建設中と積極的な姿勢でEV製造に取り組んでいます。

 テスラを追いかけるように、世界の自動車メーカーの動向もにわかに騒がしくなってきました。フォルクスワーゲンは、2019年3月にディース最高経営責任者が「フォルクスワーゲンは劇的に変わるだろう」とコメントし、これからの10年間で2200万台のEVを生産する計画を発表しました。このほかBMWやダイムラーも大々的にEVを市場に投入することを発表しています。

欧州を中心にした各国政府の発言もEVシフトを後押ししています。フランスは「エンジンで動く自動車の新たな販売を2040年までに禁止する」とし、イギリスも同調しています。続いてノルウェーやオランダも2025年までに同様の状態を達成すると表明。一気にムーブメントは熱を帯びてきました。

 しかし、何といっても大きなインパクトをもたらしたのは中国の動きです。国際エネルギー機関(IEA)のレポートによれば、2016年から2017年にかけて世界のEVの台数は200万台から300万台に増えています。このうちの40%を中国が占めているというのです。なぜ、これほどの勢いでEVへの流れが加速しているのでしょうか。

●EVは温暖化と大気汚染の切り札?

 最大のきっかけはもちろん温暖化防止です。原因と考えられている温室効果ガスの代表格であるCO2の排出量の約20%は運輸部門によるものであり、そのうち75%が自動車からの排出だとされています。

 そのためEUでは、新たに販売する車の平均CO2排出量を、2021年に1km当たり95gにするなど、規制を強化しています。これは日本の基準で燃費に直すと、リッター約24.4kmになります。特定の車種ではなく、全車の平均というところに難しさがあるのです。

 それをかなえる切り札がEVというわけです。EVなら走行中にCO2を排出しませんから大きな効果があります。また、欧州では再生可能エネルギーへの転換が進んでいるため、発電時のCO2排出量も抑えられ、さらに効果が高まります。

 対策に乗り出しているのはヨーロッパだけではありません。環境に対する意識の高い米カリフォルニア州では、EVの販売台数をメーカーごとに設定し、達成できなければ罰金を支払わなければいけません。こうした動きが各自動車メーカーをEVへと走らせています。

 こうして今や世界規模の潮流となったEVシフトには、温暖化防止と並んでもう一つ大きな課題意識があります。排気ガスによる大気汚染とそれによる健康被害です。特にディーゼル車への風当たりは強く、ドイツやイギリス、フランスなど、欧州の主要な国々は、大気汚染抑制の側面からも、ディーゼル車を減らす動きを強めています。中国で大きな問題になったPM 2.5 という微粒子の発生源の一つは内燃機関自動車です。これが気流によって日本にも届き、健康に影響を及ぼしているのではないか、とされ、私たちも無関係ではいられません。

EVは巨大な蓄電池? 新しい活用法

 こうして温暖化と大気汚染の両面からEVへの期待が高まっているわけですが、新たな可能性の模索も始まっています。それが「V2H」(Vehicle to Home)や「V2G」(Vehicle to Grid)と呼ばれるものです。これはいずれもEVのエネルギー源であるバッテリーに着目した、新しい活用のアイディアです。

 前者V2Hは、EVに充電した電気を取り出して家庭で使うアイディアで、台風や地震など災害によるの停電時でも電気製品を使えるなどメリットがあります。すでに一部の電気自動車を使った試みが始まっています。

 後者のⅤ2Gは、EVの電気をGrid(送電網)を使ってコミュニティに供給しようというものです。こちらはまだ模索が始まったばかりですが、太陽光や風力など再生可能エネルギーを活用した電力をEVに充電したり家庭で使用したりする将来像が期待されています。

(エコイスト編集部)

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