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再エネを安定的に有効活用する方法

CO2をはじめとする温室効果ガス(※1)排出の大幅な削減は世界的な急務の課題となっています。そして、CO2削減の最重要な手段として、再生可能エネルギーの普及が実は大きなカギを担っているのです。

日本ではこれまで、原子力発電所や火力発電所が電力供給の中心的なインフラでありましたが、2011年の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故により、ほとんどの原子力発電所が稼働を停止しているため、化石燃料を利用した火力発電による電力供給が約8割を占めているのが現状です。海外の主要国をみても、カナダやブラジルのような水力発電で約6割の電源を賄っている国は例外的で、アメリカ、中国をはじめとする先進国のほとんどが、約8割程度の電源を原子力と火力発電に依存しているのが現状です。しかし、全世界的なCO2削減の課題のために、各国ともに再生可能エネルギーへのシフトを早めています。そのため、日本国内からのCO2排出を抑制するために、再生可能エネルギーを中心とした電源供給インフラへのシフトが急がれています。

従来の原子力や火力といった大規模な発電所は、遠く離れた電力需要地への送配電網を構築・維持するための莫大なコストを必要とするほか、遠距離送電による電力のロスも発生していました。一方、再生可能エネルギーの中でも立地による制約が比較的少ない太陽光発電は、電力需要地もしくは近隣での発電が可能です。すなわち、遠隔地で発電した電源を使用していた大規模・集中型エネルギーの方式だけではなく、再生可能エネルギーを活用した分散型エネルギーの方式を組み合わせることで、化石燃料による発電量を減らし、CO2排出を抑制することができるのです。

しかしながら、再生可能エネルギーは天候により発電量が左右される不安定電源でもあるのも事実です。発電が不安定であると何が困るかといいますと、電力の送配電の基本に「同時同量の原則」というものがあります。これは、電力の需要量と供給量のバランスを崩してしまうと、電気の周波数に乱れが生じてしまい、停電という事態を引き起こしてしまう可能性があるため、しっかりと需給のバランスを維持しなければいけないのです。では、このような現状を踏まえたうえで、不安定電源である再生可能エネルギーを増やしていく方法とは何か? その答えの一つとして、これまでの遠隔地の火力発電所で発電した電源を使用する大規模・集中型エネルギーの送配電網に再生可能エネルギーで発電した電力を単純に流し込むということではなく、再生可能エネルギーによる発電に蓄電池や燃料電池、電気自動車を組み合わせた分散型エネルギーのシステムを構築し、再生可能エネルギーを安定的に有効利用するというものです。

このアイデアを具現化するために、VPP(Virtual Power Plant/仮想発電所)の実証実験が全国で盛んに行われています。VPPとは、需要家側のエネルギーリソース(蓄電池や電気自動車、発電設備、ディマンドリスポンス等)を、IoT技術により遠隔で統合制御し、あたかも一つの発電所のように機能させ、需給バランス調整に活用する技術のことです。

実証実験の一つの例として、大手住宅メーカーの積水ハウスと大阪ガスも、2008年から住宅のエネルギーインフラに関する様々な実証実験を積み重ねています。2020年4月から取り組んでいる実証実験では、太陽光発電・蓄電池・燃料電池が設置された住宅に実際に人が居住し、その住宅をVPPリソースとして活用するというもの。必要な時にお湯が出ない、エアコンが使えない、といったようなトラブルがなく、生活をしていくことが可能であることを大前提としながら、自宅の蓄電池や燃料電池を遠隔制御された場合に、居住者が違和感を感じる等がないかどうかについても検証を行うそうです。

これからも、数多くのVPP実証実験によって、分散型ネットワークシステムの確立に関する課題の解決、分散型電源の配電安定化制御技術などの構築が成されていき、再生可能エネルギーを安定的に有効活用できる社会に近づいていくことを期待します。

※1
温室効果ガスとは、大気圏にあって、地表から発生した赤外線の放射熱を吸収することにより、地表の温度を上昇させる気体のこと。二酸化炭素をはじめ、メタン、一酸化二窒素、フロンなどが温室効果ガスに該当します。

Photo:ecoist

(エコイスト編集部)

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