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【SDGsカジュアル講座#2】海にプラゴミが溢れた理由と私たちにできること

SDGsがつくられた背景にあるクリアすべき課題

以前のコラムで、『SDGsとは何か・なぜ、持続可能社会を目指す必要があるのか』についてご説明しましたが、今回は、世界共通目標であるSDGsがつくられた背景にある課題について取り上げたいと思います。クリアすべき課題は多数ありますが、まずは、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」に関係する”海洋プラスチック問題”について詳しくみていきましょう。

まず、海洋プラスチックゴミ問題の話題になると使用されることの多い、プラスチックゴミだらけの海の写真。このようなこのような目に見えるプラスチックゴミは、海の中で長期間漂っているうちに粉々に砕け、1mmよりもさらに小さい「マイクロプラスチック」になります。このマイクロプラスチックが海洋中を漂い、魚やクジラなどが飲み込むことにより、海洋生物の体内にも蓄積されてしまいます。そして、魚などを食べたり、海洋深層水などを飲んだりすることで、人間の体内にもマイクロプラスチックが取り込まれてしまうということになるのです。マイクロプラスチックは汚染物質を吸着しやすい性質があるため、マイクロプラスチックを体内に取り込むことは、健康被害をもたらす可能性が高いとも言われています。

しかし、日本に住んでいると、写真のようなプラスチックゴミで溢れかえった海を見かけることは少ないかと思います。むしろ、ゴミ収集日に出して、海にプラスチックゴミを捨てるなんてことはしないという方が大半でしょう。ではなぜ、海にプラスチックゴミが溢れかえるようになったかというと、それは、先進国で廃棄されたプラスチックゴミが発展途上国と呼ばれる国に輸出されていたからなのです。

 

プラスチックゴミ輸出のその先

先進国で出たプラスチックゴミを発展途上国の国に輸出しても、輸出先の事業者が正しい処理を行っていればこのような事態は引き起こされていなかったかもしれません。しかし、あろうことか、少なくない数の事業者が輸入したプラスチックゴミを海に不法投棄していたのです。もし、処理が行われたといっても、そのような国々では埋め立てたり、不法投棄したりするしか方法がありませんでした。

そもそも、先進国側でプラスチックゴミを輸出せずに、自国内できちんと処理できていれば、このような事態は起こっていなかったかもしれません。ただ、残念なことに全てのプラスチックがリサイクルできるというわけではないのです。そのため、国内に溜まったプラスチックごみの置き場に困った日本をはじめとした先進国が、規制の緩かった発展途上国にプラスチックごみを輸出する、という事態が起きていたのです。なお、様々な問題が発生したために、現在、中国をはじめとしたほとんどの国でごみを輸入することは禁止されています。

 

リサイクルの現状と課題

「え、プラスチックってリサイクルできる素材ではなかったの?」と思っている方も多いと思いますので、リサイクルの現状と課題についてお話しします。
リサイクルとは、世界で常識となってきた3R運動の一つです。プラスチックそのものを減らす「Reduce」、そのままの形で再利用する「Reuse」、そして、原材料として再利用する「Recycle」となります。

日本国内の企業や家庭から排出される年間約900万トンのプラスチックゴミのうち、86%はリサイクルされていると発表されています。しかし、厳密にいうと、リサイクルされているという86%のうちの73%は、焼却されて熱エネルギーに転換されています。いわゆるサーマルリサイクルと呼ばれるものです。ただ、燃やすことがリサイクルといわれると、燃やせば当然CO2も排出するため、どこか違和感を感じてしまいます。

そして、残りの13%が原材料としてリサイクルされています。リサイクルにはいくつかの手法がありますが、いずれの方法でもリサイクルするためには、分別・回収にコストやエネルギーが必要です。プラスチックを原料として再生する場合にはプラントが必要になるため、そこにもコストやエネルギーが必要になることが大きな課題といえます。せっかくの環境負荷を減らすためのリサイクルが、CO2排出を大きく増やしてしまうなど、トータルではかえって、環境負荷を増やしてしまうことになりかねないのです。

このような課題があるため、プラスチックごみのリサイクルは順調に進んでいるというわけではなく、埋め立てられたりセメントの原料に混ぜられたりといった処理に回っています。そして、これらの処理にも追いつかないプラスチックゴミが世界中に溢れかえってしまっている、というのが現状なのです。

 

海洋プラスチックゴミ問題を解決するには

さて、プラスチックによる海洋汚染を解決するために起こすべきアクションを、SDGsの文脈でまとめると、以下のようなアクションとなります。

●目標4「質の高い教育をみんなに」
大前提として、ゴミを不法投棄することが“環境によくないこと”であることを、学校などで学んでいなければなりません。これは、輸入事業者の不法投棄だけではなく、道路や排水溝など、生活圏で投げ捨てられたプラスチックが川を経由して海に流れ込むことも、非常に大きな汚染源になるためです。

●目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
そして、リサイクルの技術をより革新していかないと、コストやエネルギーがリサイクルの妨げとなってしまいます。

●目標12「つくる責任 つかう責任」と目標17「パートナーシップで目標を解決しよう」
さらに、つくる側として、リサイクルが簡単で、資源リソースが延々と循環するような素材や仕組みを開発するには、バリューチェーン各社との協力がなくてはなりません。

●目標12「つくる責任 つかう責任」
製品を購入した時点で、使う側にも責任が発生していることを忘れてはいけません。ペットボトルの中に何かを入れて捨てたりしないなど、ルールに則って廃棄しなければなりません。

このように、「海の豊かさを守ろう」というSDGsの目標14を達成させるための、海洋プラスチックゴミ問題一つとっても、色々な目標が関連していて、クリアすべき課題はたくさんあるのです。

 

私たちにできること

こういった全ての課題を私たちが一朝一夕に解決することは難しいですが、様々な研究開発により、次元の高い製品や仕組みが生まれているのも事実です。少しずつでも、私たちは持続可能な循環型社会に向けて進化している途中、と期待を込めて言いたいと思います。技術革新に期待を込めつつも、国がやってくれる、企業がやってくれるでは、いつまで経っても改善されません。普段の生活の中で、マイボトルやマイカトラリーを持ち歩いたり、固形シャンプー・トリートメントに切り替えたり、プラスチックの使用量を減らすアクションは簡単です。一つずつ減らし、プラスチックゴミのない、綺麗な海を取り戻しましょう。

Photo:ecoist

(エコイスト編集部)


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