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廃水から油を吸い取るスポンジ

アメリカの2006年以降のシェールガス・シェールオイルの開発ブームは「シェール革命」とも呼ばれ、耳にしたことがある方も多くいらっしゃるかと。そもそもシェールガスとは、頁岩(シェール)という岩石の隙間に存在する天然ガスのことで、ここに埋蔵されている石油がシェールオイルとなります。シェール革命以前、アメリカは石油の輸入超過国でしたが、シェールガス・オイルの生産が増えるにつれ、輸入量と輸出量の差がだんだんと縮まり、昨年9月、実に70年ぶりに輸出量が輸入量を上回りました。

夢のエネルギーのように語られるシェールガスやシェールオイルも、掘削にあたって環境破壊を引き起こすことが懸念されており、シェールガスやシェールオイルを抽出する場合に使用する水圧破砕(※1)技術によって、油で汚染された水が排出されてしまいます。排出された水も洗浄こそされていますが、表面に浮く油膜を取り除くだけで、細かな油を取り除くことはできていません。

カナダのトロント大学とインペリアルカレッジロンドンの研究チームは、そんな油で汚染された水を綺麗にするための研究を重ね、特殊なスポンジを開発しました。そのスポンジは、廃水をわずか10分で90%以上の小さな油を取り除くというのです。この革命的なスポンジは、2年前に発表したプロトタイプを改良して完成しました。プロトタイプの時は2つの課題があり、1つ目は95%以上の油を除去するために3時間かかり、産業規模での利用が難しい点。2つ目はプロトタイプスポンジの最適なpH値が5.6であったのに対し、実際の廃水は4〜10pHだった為、除去率が低下した点です。この2つの課題を解決する為、研究者たちはカウチクッションなどに使用されているポリウレタンフォームを使用することにより、廃水から小さな油を分離可能なことを発見。さらに、表面積・表面の化学的性質・細孔径(微細な空孔のこと)を調整し、油を集めて吸収する最新のスポンジを設計しました。これにより、最新のスポンジは、プロトタイプ時よりも広いpH範囲で機能し、最適なpH値5.6ではわずか10分で92%以上の油を除去することができるようになりました。

スポンジは油を吸収したらその後は?と思ってしまいますが、溶剤で処理すると油が排出され、スポンジも油も再度利用することができるとのこと。研究チームがテストを行ったところ、10回行ってもパフォーマンスの低下は見られなかったそうです。

トロント大学の大学院生Pavani Cherukupallyさんは、「スポンジを使用してガス・鉱業・繊維産業からの排水を処理し、汚染されている河川の有機物や病原体を無くし、開発途上国でも使用できる価格にしたい」とも考えていると述べており、今後のスポンジの活用に期待したいですね。

※1水圧破砕…地中深くまで穴を掘り、そこへ化学物質含む大量の水を高圧で流し込み、人工的に割れ目を作り抽出するという技術。

Source: https://www.utoronto.ca/news/
Photo:トロント大学

(エコイスト編集部)

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