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空のピラニアが食料不足を引き起こす

ここ数年の間で、インド・アラビア半島・東アフリカ付近で”ある昆虫”が大量発生しています。その”ある昆虫”とは、バッタです。「なんだ、バッタか。」と油断していけません。なぜなら、バッタの大群によって、食料不足の危機をまねく事態となっているからです。

FAO(国際連合食糧農業機関)によると、底なし沼のような食欲の持ち主であるバッタの一種「砂漠のイナゴ」により、農作物に深刻な被害が出ているとのこと。砂漠のイナゴの群れは、ニューヨークを埋め尽くしても余りが出るほどの規模の700億匹に達することもあるそう。しかも、成虫であれば自分の体重と同じ量(約2〜2.5グラム)の植物を1日で食べることができるため、仮に400万匹の群れだとしたら、3万5000人分の1日の食料に匹敵する量の植物を1日で食べてしまいます。食欲もさることながら、1日でなんと150キロほども移動することができるのが砂漠のイナゴの特長です。このような行動と特長から、砂漠のイナゴは空飛ぶピラニアとも呼ばれ、数日間で広範囲の植物を死滅させてしまう恐ろしい昆虫なのです。

この恐ろしい砂漠のイナゴの大群は、エチオピアとソマリアでは過去25年、ケニアでは過去70年で最悪の規模となっているそう。地域一帯は作物の生育期を迎えており、新型コロナウイルスの影響で対策が難航している間に、砂漠のイナゴの群れは増殖しています。FAOによると、2020年は東アフリカで最大2500万人が食料不足に見舞われると試算しています。

ではなぜ、砂漠のイナゴが大量発生しているのでしょうか? これには、2018年から2019年にかけてインド洋からアラビア半島に上陸したサイクロンや大雨が関係していると考えられています。サイクロンや大雨により、砂漠に水が注いだことで、湿った場所に産卵をする砂漠のイナゴが大量発生してしまったのです。このサイクロンの上陸は、インド洋の海水温の異常な上昇と関連づけられ、地球温暖化が関係しているとされています。地球温暖化が進むことで海水の蒸発が盛んになり、より大量の水蒸気が大気中に蓄えられます。その状態で熱帯低気圧が発生すると、より強い熱帯低気圧に発達しやすいということです。アラビア半島で生まれた砂漠のイナゴは紅海を渡り、エチオピアとソマリアに到達。そして、2019年10〜12月に東アフリカで降り続けた異常な大雨によって、砂漠のイナゴは南のケニア、ウガンダ、タンザニアまで拡大したようです。

砂漠のイナゴにとっては良好な繁殖条件が続いていることにより、群れの規模を拡大し続けることができ、嬉しい状態かもしれませんが、人間の食料が無くなってしまうことは問題です。しかし、悪とされ駆除されている砂漠のイナゴにも罪はありません。砂漠のイナゴが大量発生した原因の一つであるサイクロンの発生が一概に地球温暖化や気候変動だけが原因とは断定できないですが、何らかの関係があった可能性をも否定することはできません。

Source:http://www.fao.org/emergencies/crisis/desertlocust/en/
Photo:FAO

(エコイスト編集部)

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