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廃棄牛乳からTシャツを作る

コロナウイルスの流行で農産物が消費されずに余り、行き場を失っているというニュースに触れた方は多いかもしれません。牛乳もそんな農産物のうちの一つ。折り悪く、春先は牛の出産期に重なり生産量が増えるため、酪農家にとって消費の減少は深刻な問題となりました。

しかし、世の牛乳離れは今に始まったことではありません。米国では1975年から2017年の42年間で国民一人当たりの牛乳消費量が40%減少したというデータがあります。豆乳など植物性のミルクの人気が原因の一つと考えられていますが、牛乳は需要が減ったからといって、簡単に供給を減らすことはできません。牛は一日でも乳を絞らないと乳房炎にかかってしまうので、需要が減ったとしても供給量を合わせることはできないのです。過剰に生産された牛乳は、当然加工して利用されますが、それでも余ったものは廃棄物になってしまいます。

そんな廃棄される牛乳を有効活用しようと、米国の企業が動き出しています。ロサンゼルスに拠点を置くスタートアップのMi Terro社は、なんと乳製品から繊維を作り、Tシャツを作り始めました。昨年、クラウドファンディングサイトで生産資金を調達した際は、目標額の3000ドルを2時間で達成し、一気にファンを増やしました。

一体どうすれば牛乳が衣服になるのでしょうか。同社は提携する酪農家から余った牛乳を調達。発酵させた牛乳から脂肪を取り除いた後、脱水し粉ミルクにします。これをもう一度精製し、不要なタンパク質を除去することで、食物繊維が伸びて紡績糸に加工できるといいます。その後、マイクロモダールという植物由来の繊維と組み合わせて一枚のTシャツに織りあげます。コップ1杯分の牛乳はTシャツ5枚分の原料に相当するといいます。

「Mi Terroは持続可能なファッションを通して、世界の問題を解決しようとするグリーンファッションブランドです」 と語るのは、同社のCEO兼共同創設者のロバート・ルオ氏。2018年に設立したばかりですが、これまでに天然コルクと海洋プラスチックをリサイクルして作ったバッグを販売し、売り上げの一部で植林をするなど、環境に良い影響を与える持続可能なファッションを追求してきました。

そんな彼らの最新作が今回の牛乳で作ったTシャツ。きっかけは、ルオ氏がユーチューブの動画で乳製品廃棄物の存在を知ったことでした。世界中で毎年1億2800万トンの牛乳が廃棄されているという事実に驚いたといいます。その後、乳製品の廃棄物とファストファッションが生む廃棄物とを同時に解決する手段として牛乳由来のTシャツを考案。母国の中国の製造業者や供給業者に連絡を取り、最終的に牛乳を織物にアップサイクルした実績のある中国の製造業社と提携することにしました。

生地はコットンより3倍柔らかく、抗菌、消臭、吸湿発散性、耐しわ、ストレッチ性など高機能と高級感のある素材感を合わせ持っているとのこと。同社はTシャツの人気を受け、同じ生地を使った下着を既に発売。将来的に靴下やパジャマ、スカーフなどの製品を作る予定だといいます。

Tシャツは現在、同社のウェブサイトで39.5ドルから販売されています。この夏は「THIS TEE IS MADE FROM MILK」のロゴ入りTシャツを着て、牛乳の廃棄物問題を身近な人に伝えてみるのもいいかもしれませんね。

Source:https://www.miterro.com/
Photo:Mi Terro

(エコイスト編集部)


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