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“持続可能性”についての人々の理解

 『「持続可能な開発目標(SDGs)」について人々がどう考えているのか』という意識調査を行ったイギリスのバース大学のポール・ベイン教授は、この調査を通じて調査対象の人々と「持続可能性」について共通認識を持つことができたと語っています。

 ベイン教授は、人間の価値観や美徳などをテーマに研究を行う心理学者。今回、彼が採用した調査方法は、SDGsを「環境」・「経済」・「社会」の三つの要素に分割し、12ヵ国の2100の人々に、それぞれの要素について評価してもらったそうです。そして、調査の結果、多くの人が“環境保護の解決は、格差や平和といった社会的な課題とトレードオフの関係にある”と考えていることが分かりました。すなわち、環境課題を優先するのであれば、社会的課題は犠牲にしなければならない、という考えを持っていたということです。調査結果は、例えば米国が提案する「グリーンニューディール」のような、環境保護と経済成長との両立を目指す持続可能性プログラムを、人々に分かりやすく伝えるときに役立つそうです。

 なぜ、教授はこのような調査手法を採用したのか? 教授自身はSDGsの目指す幅広い目標に感銘を受ける一方で、人々は“持続可能性”について細かく理解するのではなく、もっとシンプルに理解しているのではないか、と考えたからです。そこで教授は、共通点を持つ目標に着目し、環境・経済・社会の三要素にまとめました。例えば、“SDGs5:ジェンダー平等を実現しよう”と“SDGs10:人や国の不平等をなくそう”は、目指すものが平等という点で共通しているといったように。

 調査は“持続可能性”について説明しながら行われましたが、この“持続可能性”という言葉に対して、一般の人々の理解に差があることが発覚しました。また、国によって言葉の意味が通じないことも分かりました。例えばロシアでは「持続可能性」という考えが一般的ではなく、それに相当する言葉も普及していません。

 ベイン教授は、これらの課題を乗り越え、「国を越えたSDGsに対する大衆の視点」というタイトルで、調査結果を論文としてまとめました。複雑な設問を設けると、複雑な回答を引き出してしまい、かえって人々が問題をどのように受け止めているかが見えにくくなります。「今回は、設問をシンプルにしたことで“持続可能性”についての共通認識を人々と共有することができたので、今後のほかの調査でも今回の経験を生かしていきたい」と教授は述べています。

Sauce: https://www.nature.com/articles/s41893-019-0365-4
Photo: ecoist

(エコイスト編集部)

2019.11.04