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自転車通勤を楽しむマルク・ルッテ首相

 オランダのハーグ市内の中心部にある「ビネンホフ」は、中世ゴシック様式を模したお城のような美しい建物で、ハフ湖の美しい景色を一望できます。絶好の観光スポットとして知られているビネンホフには、オランダ議会の上院、下院、総理府、外務省などの中央官庁、オランダ首相の執務室もあり、文字通り行政の中心となっている建物です。

 2010年から同国のリーダーとなったマルク・ルッテ首相は、このビネンホフまで2017年から自転車で通勤しているそうです。2019年の9月23~24日にアメリカのニューヨークで開催された、世界経済フォーラムの「持続可能な開発の影響に関するサミット」でも、ルッテ首相は自転車通勤についてのスピーチを行いました。

 オランダ人はサイクリング好きなことで知られていて、国にある自転車の数は約2300万台。1700万人の人口を大きく上回っています。国内での移動手段の25%は自転車で行われ、自転車での通勤率も6%と高い数字となっています。

 ここまでサイクリングが普及した理由について、ルッテ首相は「我が国は国土が小さく平坦なため、サイクリングに適している」とコメント。首相はスピーチの中で、渋滞や環境負荷低減のために自転車が好まれていることや、19世紀の後半からは自転車が移動手段として確立されていることを紹介しました。

 また、同国の交通インフラは自転車利用を促進するように設計されているそうです。全国に35,000km以上の自転車専用道路が張り巡らされ、ツール・ド・フランスの出発地であるユトレヒトには世界最大規模となる、地下3階建てで12,500台を収容できる自転車専用の地下駐輪場もあります。ルッテ首相は「自転車用道路は都市と都市の間も網羅しており、子どもたちの通学の安全性を確保しています」と胸を張ります。

 サイクリングのメリットはこれだけではありません。サイクリングは、糖尿病や心血管疾患などの疾患のリスクを低下させ、精神的な健康にも良い影響を及ぼします。ルッテ首相は、「2015年のとある研究によると、自転車を使用したことで我が国では毎年6,000人以上が死亡を回避しており、それによって平均寿命が半年延びていることが分かりました」と述べました。それだけでなく、自転車の利用による節約効果は年間2000万ドル以上で、自動車と比較すると走行距離1kmあたりで平均150グラムのCO2削減が可能になるそうです。ルッテ首相は「オランダのサイクリングシステム全体が、人々にこの非常に健全な自動車からの代替案を利用するよう促しています」と述べ、今後さらにサイクリング人口が増加していくことに期待を寄せています。

Sauce: https://www.weforum.org/agenda/2019/09/why-i-ride-my-bike-to-work-by-the-prime-minister-of-the-netherlands
photo: ecoist

(エコイスト編集部)

2019.11.06