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ミツバチの環境保護にも役立つハチの巣箱

 国連環境計画(UNEP)の発表によると、世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち、7割はハチが受粉を媒介しています。ハチは自然環境の保護にも役立っている大切な環境資源ですが、農薬や環境破壊の影響で、年々その数を減らしています。

ミツバチにとって住みやすい環境を保護するために、動き出した養蜂家もいます。オーストラリアの養蜂家である、スチュアート・アンダーソンさんと息子のシーダー・アンダーソンさんは、従来の巣箱のようにハチを殺すことや巣箱を壊すことなくハチミツを回収できる画期的な巣箱を開発しました。「フロー・ハイヴ」と名付けられたこの巣箱には、ハチの巣箱に入れる「巣枠」と呼ばれる厚板の代わりに、「フロー・フレーム」と呼ばれる装置が入っています。フレームの内部はハチの巣状をしており、中でミツバチが幼虫を育て、ハチミツを貯蔵するという構造です。

 ハチミツを採取する際、フロー・ハイヴはその真価を発揮します。採蜜する場合は通常、巣枠にできたハチの巣から遠心分離機などを使ってハチミツを取り出しますが、この方法だと巣が壊れてしまう可能性があります。それに対して、フロー・ハイヴは、フロー・フレームにチューブを差し込み、鍵を90°回転させるだけ。あとは、水が蛇口から出てくるようにチューブからハチミツが流れ出るため、それを回収すれば完了です。ですから、ハチの巣を壊してしまったり、採集中にハチに刺されたり、ハチを殺してしまうこともありません。

 シーダーさんがこの新しい巣箱を開発しようと思ったのは、彼がわずか6歳のときでした。父の作業を手伝っていた兄が、ハチに刺されたことがきっかけだったそうで、アンダーソンさん親子は10年かけて巣箱の開発を行い、そして、遂に2015年にこのシステムを完成。

 ところが、その当時、アンダーソンさんには、製品化するための資金がありませんでした。そこで思いついたのが、クラウドファンディングサイトでの資金募集。そして、サイトで募集を開始してみると、この画期的な巣箱はたったの15分で15万ドル(約1600万円)もの募集が殺到。最終的には1,220万ドル(約13億2500万円)にまで達し、このサイトで最も成功したキャンペーンとなりました。それから4年が経った現在、フロー・ハイヴは世界130ヵ国で65,000台が使用されており、世界のハチの巣の数を10%も増やすことに成功したそうです。

 また、親子は2019年、フロー・ハイヴの端材を使用した「フロー・ポリネーター・ハウス」を発売しました。この巣箱は、巣を持たない野生のハチの巣作りに役立てられます。野生のミツバチは現在、生息地の損失と農薬の影響で世界的に個体数を減らしており、アンダーソンさん親子は、フロー・ポリネーター・ハウスで得たすべての利益をミツバチの擁護団体に寄付することも考えています。ハチミツの回収を効率化しながら、ミツバチの繁殖にも貢献するフロー・ハイヴ。養蜂業界の技術革新が世界中に広まることを期待します。


Sauce: https://www.honeyflow.com/about/about-flow/flow-story/p/122
Photo:Flow Hive

(エコイスト編集部)

2019.11.11