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光合成するバイオテキスタイルで作られた服

 様々な理由で着なくなった洋服…、多くの方はそのまま捨ててしまうのではないでしょうか。一体、どれだけの服が捨てられているか、知っているかたはほとんどいないでしょう。

ちなみに、中小企業基盤整備機構の調べによると、日本では年間100万トン、33億着という量の服が捨てられているそうです。ファストファッションの流行のほか、衣類の種類自体が増え、ブランドが様々なトレンドを追いかけるようになったことなどが原因とされていますが、1.2億人の人口で年間100万トンという数字は、一人あたり年間8.3キロの衣類を捨てていることになります。

 そんな「衣類ロス」を減らすだけでなく、消費者のマインドも変えていこうという革新的なソリューションが始まりました。イラン出身で、カナダで活躍するデザイナー、ロヤ・アギギさんは、ブリティッシュコロンビア大学の研究グループと協力して、「Biogarmentry(バイオガーメントリー)」と名付けられたプロジェクトを開始。服の材料として、何と「藻」を使った、光合成をする服を開発しました。「藻」というと緑で地味なイメージですが、彼女のデザインは革新的。シンプルなキャミソールの上に、シースルーで大きめシルエットのシャツをさらりと羽織ると、このシャツが地味な「藻」から出来ているとは思わないでしょう。

 このプロジェクトは、合成生物学とデザインの分野からファッションの持続可能な未来を考えるきっかけとなるほか、デザインは生物との関係においてどのような位置にあるべきかを探求するためのものです。研究では様々な種類のセルロースやタンパク質をベースにした繊維など、天然の繊維上で光合成を行う生きた細胞が生存することを初めて実証し、100%天然で、自然に分解できる繊維を作り上げました。

 この服は完全に堆肥化できますが、それ以上に重要なのは、服が生きている間に光合成を行い、空気を浄化するということです。素材が生きているため服自体に寿命があり、その寿命は、服がどのように取り扱われるかによって左右されるとのこと。そのため、この服を購入した人は自然と大事に思い、今までの衣類とは違った付き合い方をするようになります。

 この依頼には、使用者が長期間利用できるように、専用の取扱説明書が付属しています。これは、私たちが今ファッションに対して持つ認識と、衣類の取り扱い方の変化を促すためのものです。衣類を大切に扱うことで、より長く、親密な関係を衣類と築くことができるというわけですね。

 プロジェクトが目指すゴールは、単に衣類ロスを減らしたり、光合成をする服を作る、といった単純なものではありません。私たちの生活が変化するよう積極的に働きかけることで、衣服が持つ可能性を広げていくことが、プロジェクトの最終的な目標です。また、デザインの世界で生物学の知識をより活用して使い手の思考を喚起し、デザインの新しい役割と理想を促進していくことも目指しています。ファッション業界もサステナブルに変わろうと変化しています。すなわち、消費者である私たちも、エシカルな服との付き合い方が求めらているのです。

Sauce:https://www.royaaghighi.com/biogarmentry.html
Photo:Biogarmentry

(エコイスト編集部)

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