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昆布のジャーキーが漁師を救う?!

日本食が世界中に広まったことで、昆布で作る出汁の認知も高まりました。日本では、昆布は昔から一般的であった食材の一つで、出汁を取る以外にも煮たり生で食べたりと様々に活用されています。

その昆布が、今、アメリカで持続可能な食料資源として注目を集めています。火付け役はスタートアップ企業のAKUA社。昆布をベースに、シイタケ、海苔、ターメリック、スピルリナなどを混ぜ、菜食主義者でも食べられる高タンパク質な新しいジャーキーとして販売をしています。「映画を見る際のポップコーンの代わりになる」などと評判で、商品は、雑誌TIMEが選ぶ2019年100の発明の一つにも選ばれました。

TIMEが’“発明’’として選んだのは、栄養価が高いことに加えて、昆布の持続可能性に着目してのこと。AKUA社によると、成長の過程で海中の炭素と窒素を取り込むことや、淡水や農薬、肥料など外部から持ち込むものを必要としない「ゼロインプット作物」であることが、周辺の水質を改善するといいます。

さらに、昆布の持続可能性は人々の生業にも及びます。同社が材料として使用する昆布は全て養殖。気候や海流の変化によって継続が危ぶまれる伝統的な漁業を営む漁師にとって、昆布の養殖は安定した収入になるといいます。同社HPにリンクが貼られた、アメリカの昆布事情を取材したニューヨークタイムズの記事によりますと、AKUA社が材料を調達する東海岸北部にあるメイン州の養殖業者の多くはロブスターの漁師たち。夏に漁業を行う彼らにとって、冬に作業を行う昆布の養殖は相性がいいということです。また、彼らが湾内の潮の流れを熟知しており、ボートやロープ、ブイなど、養殖に必要なすべての装備をすでに備えていることも、漁師たちの養殖業への参入を後押ししました。また、同記事では、メイン州のタラやエビ、ウニの漁獲量が減っていることや、ロブスターの餌となるニシンが減って高価となり、経営が困難となっていることも紹介しています。気候の変化による水産現場の苦境は各国に共通する課題のようです。

ちなみに、AKUA社はジャーキー以外にも昆布のパスタを開発。そして、3月には腸の健康に焦点を当てた、消化を促す甘いスナックを新製品として発売するとのこと。日本の出汁とは異なる切り口で、アメリカ産昆布は、ますます注目を集めていくことでしょう。

Source: https://akua.co/
Photo:AKUA社

(エコイスト編集部)

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