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インドは生物多様性保全の先進国

急激な経済発展が注目されがちなインドですが、世界有数の生物多様性を持った国で、その保護と開発に熱心であることはあまり知られていないのではないでしょうか。

インドでは2011年から2019年9月まで、政府主導での生物多様性保全プロジェクトが行われていました。プロジェクトを支援した国連の報告によりますと、保全と同時に、農村の生活レベルが改善されたとのこと。多様性の保全と暮らしが豊かになることとは、どういうつながりがあるのでしょうか。

インド南東部アンドラ・プラデーシュ州にあるピナコタ村の例を見てみましょう。インド原生の植物のひとつに、アンドログラフィス・パニクラータというハーブがあります。古代インドの伝統医学アーユルヴェーダで治療薬として処方されており、現代においても、マラリアなどさまざまな種類の発熱の治療薬に使われています。ピナコタ村では、この希少なハーブの採取や栽培をしており、生物多様性保全プロジェクトの対象となりました。

人口732人のピナコタ村にとって、このハーブは重要な収入源の一つです。ところが、村人はこうした資源の適切な管理の方法を知りませんでした。村に来てハーブを買い取り製薬会社に売って仲介料で稼ぐビジネスマンに対して、村人は弱い立場に立たされていたのです。需要が過剰になれば、ハーブを根こそぎ収穫してしまう可能性もあり、資源の保全の面からも、村の経済の観点からも、到底持続可能とは言えない状況にありました。

そこで、プロジェクトではピナコタ村に「生物多様性管理委員会」を設置しました。委員会は、研究者や民間企業、政府など商業や研究の目的でハーブに関わる人々がメンバーに入り、資源管理を主導しました。商業目的でハーブに関わる人からは一定の課徴金を徴収し、地元の基金に一旦納めた上で、マンゴー苗を配布するなどして村全体に資源の恩恵が行き渡るようにしました。こうした利益の共有システムを作ることにより、希少なハーブを守ろうという気運を村人の中で高めていきました。

プロジェクトでは、このような委員会がインド29州のうち10州計315箇所に設立されました。ピナコタ村の委員会では、村のリーダーであるクルパ・シャンティさんが議長を務め、他のメンバーは民主的な選挙によって選ばれました。委員会は、これまではっきりしていなかった資源に関わる人々を特定し、資源の商品としての経済的な価値を評価、データベース化しました。これによって、明らかになった市場価値を基に顧客を想定することができ、新たな投資や調査も進みました。 希少な植物をやみくもに保護するのではなく、適切な管理の上で有効活用し、村人の生活を緩やかに向上させたプロジェクトは「大きな成功を収めた」と国連環境計画で生物多様性を専門とするマックス・ジーレン氏は言います。このインドの施策は、世界の国々が参考とすべき取り組みであるといえるでしょう。

Source:https://www.unenvironment.org/news-and-stories/story/shifting-needle-biodiversity-conservation-india
Photo:ecoist

(エコイスト編集部)

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