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コンクリートにCO2を閉じ込める

安定的にエネルギーを作り出す一方で、温室効果ガスを出す石炭火力発電所。排出するCO2が大気中に広まらないよう、地下深くに人為的に埋めてしまう技術が長年研究されてきました。

ところが近年、CO2を埋蔵するよりも、資源として有効活用する方法を世界中の研究者が模索しているといいます。なぜなら、どれだけ効率的に地中に埋めることができても、営利事業ではないので経済が回らず、政府の援助なしでは技術が世の中に広まらないからです。

ではCO2はどのような活用法があるのでしょうか。米国UCLAの研究チームは、CO2を閉じ込めるコンクリートに注目しています。コンクリートの原料であるセメントは、石灰石を粘土やけい石など、他の材料と一緒に加熱して作ります。その際、化学反応とともに大量のCO2が放出されるのですが、チームが新たに見つけたポートランダイトという原料は、形を変えて硬化する際にCO2を吸収するというのです。チームはこの性質を生かし、原料を排ガスに触れさせることで、CO2をコンクリートに閉じ込めるシステムを開発しました。

難しく聞こえますが、このプロセスはクッキー作りと同じだといいます。生地が湿った状態のクッキーはオーブンの中で熱風に触れて焼き上がります。同じようにこのコンクリートも、発電所の排ガスに接触する事でCO2を吸収し固まるのです。その際の原料の適切な配分、適切な硬化温度、適切なCO2量を見つけることの難しさもクッキー作りに通じるものがあるとか。

研究チームはCO2コンクリートという会社を設立し、あるコンテストに参加しています。米国Xプライズ財団が主催するそのコンテストは、工場から排出されるCO2を価値ある製品に変える循環型炭素技術を競い合う、というもの。2015年9月に始まり、今年秋に終わる予定です。2月現在、CO2コンクリートを含む決勝に進出した4カ国10チームは既にそれぞれの技術を実証する段階まで来ています。

CO2コンクリートの新技術は、排ガスを有効活用すると同時に、セメントのCO2排出量を減らしている点で革新的です。実はセメント製造は、火力発電所と同じようにCO2排出量を減らすことが難しい巨大産業の一つ。セメント産業が世界中で排出するCO2の量は、人為的なCO2排出量の約5%に相当すると推定されています。セメントの生産量は伸び続けており、今後新興国や途上国を中心に需要が伸び続けると、CO2排出量も倍増することが明らかです。CO2コンクリートはそんなセメント産業と石炭火力発電所のCO2排出量を同時に減らす方法を編み出したといえます。

ちなみに、このコンテストの賞金は合計2000万ドル(約22億円)。人類の未来を変える可能性のある技術ですから、この賞金の巨額ぶりにも納得がいきますね。他の参加チームは、CO2を材料にしてカーボンナノチューブやウォッカを作るなどユニークな技術を開発しているそうです。どのチームが優勝するのか、秋まで目が離せません。

Source:https://spectrum.ieee.org/energywise/energy/fossil-fuels/carbon-capture-power-plant-co2-concrete
Photo:UCLA/CO2Concrete

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