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熱帯雨林は炭素吸収源としての効果が低下!?

2019年にアマゾンの熱帯雨林で起こった火災は記憶に新しく、人類にとって辛い経験となりました。この火災だけでも痛ましい出来事ですが、さらに、衝撃的な発表が学術雑誌Natureで2020年3月に発表されました。なんと、「アマゾンの熱帯雨林は、二酸化炭素を吸収する能力が急速に低下していて、近いうちに炭素の発生源となる可能性がある」とのこと。

論文を発表したリード大学のサイモン・ルイス教授によると、「気温上昇や森林伐採がこのまま続けば二酸化炭素の吸収は減少の一途をたどり、2060年までに熱帯雨林はむしろ炭素の発生源となる可能性がある」とのこと。当然ながら、熱帯雨林が炭素の発生源になると、気候変動はより深刻なものになるとも指摘しています。

研究者はアフリカとアマゾンでデータを取集し、2つの地域の565箇所に生える木について、直径と高さを数年ごとに測定、生きている木と死んだ木に含まれる炭素の量を計測しました。その結果、アマゾンの木々の炭素吸収量が先に少なくなっていったことが判明しました。さらに、アフリカの木々も急速に吸収量を落としていることも判明しました。アマゾンの木々の減少が先に見られたのは、アマゾンの木々がより高気温・急速な気温上昇・頻繁で深刻な干ばつに見舞われたためと考えられています。

研究者は観測と統計モデルなどから、2030年中頃からアマゾンの熱帯雨林が二酸化炭素の発生源に変わり始めると予測しています。予測によると、今回調査対象となったアフリカの森林の二酸化炭素吸収能力は、2030年までに14%低下すると推定され、アマゾンでは、森林の二酸化炭素吸収能力が35年までにゼロになるとの予測です。

2020年11月にイギリス・グラスゴーで開催予定の、第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)では、今世紀の半ばまでに人為的な温室効果ガスの排出量と吸収量を等しくする「Net Zero Emission」の計画について話合いが行われる予定です。一部の裕福な国や多くの企業は、新しい森林を育てることで排出量と吸収量を相殺させる方法を計画しています。しかし、今回のサイモン・ルイス教授による研究結果は、熱帯雨林に頼ることでは大規模な排出を相殺することができないことを示唆しています。

多くの科学者は気候システムで転換期があることを恐れています。一度転換期を迎えてしまうと、氷の融解などに歯止めが効かなくなるとのこと。この転換点を迎えるまで人類に残された猶予はあとわずかのようです。COP26では、森林を増やす手法で今まで通りビジネスを行おうとする方向ではなく、抜本的な解決方法について話し合ってほしいですね。

Source:https://www.theguardian.com/environment/2020/mar/04/
Photo:ecoist

(エコイスト編集部)

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