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二人の少女がケロッグ社を動かす

忙しい朝でも手軽に美味しく栄養が取れるシリアル食品。コーンフレークやオートミール、グラノーラなど、種類が豊富で好みも人それぞれだと思います。世界中で愛されているそんなシリアル食品ですが、イギリスに住む二人の少女が、そんな世界的企業であるケロッグ社の経営方針を動かした、というニュースがいま話題になっています。

二人はレイトン・バザードに住むアーシャさん(12)とジアさん(10)の姉妹。毎朝ケロッグ社のシリアルを食べていた二人が、シリアル断ちを決めたのは2018年の夏でした。きっかけはTV番組「オランウータン・ジャングル・スクール」。インドネシア中部カリマンタン島にあるオランウータンのリハビリ施設を描いたドキュメンタリー番組でした。少女たちは番組を通して、シリアル食品に使うパーム油の原料であるアブラヤシ農園の拡大によって、オランウータンの生息地である熱帯雨林が破壊されていることを知りました。

ケロッグ社に限らず、世界中の食品、日用品メーカーがインドネシアのパーム油を使って商品を製造しています。ご存知の方も多いと思いますが、パーム油は世界で一番多く使われている植物油です。汎用性が高く、パンやポテトチップスだけでなく、洗剤やシャンプー、石けんなどにも使われています。また菜種油やヒマワリ油、大豆油など他の植物油と比べて生産性がはるかに高く、単位面積当たりの油の収量は8~10倍にもなります。

そんな便利なパーム油なので、過剰に生産されてしまう恐れが常につきまといます。同時に、熱帯雨林の消失や児童労働、さらには労働者の搾取など、環境問題、人権問題にも広がっています。こうした背景から、2004年に「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」が設立されました。パーム油を使う企業は、問題が起こらないようRSPOが制定した認証を取得することが求められています。

当然、社会への影響力の強いケロッグ社は、この認証のもとでパーム油を調達することが求められます。ところが、国際NGO団体グリーンピースやアムネスティ・インターナショナルの調査によって、ケロッグ社を含む多くの企業が労働問題が確認されている農園と未だに関係があることが分かりました。こうした状況に対して、二人の少女はネット上で署名活動を始めたのです。

「安いパーム油のために熱帯雨林を破壊しないで」。二人の少女はオンライン署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で、ケロッグ社に対してこう呼びかけました。世界中から54万を超える賛同の声が寄せられ、少女たちは2018年冬、ケロッグ社から英国オフィスに招かれ、幹部との話し合いの場を持ちました。少女たちに対して、同社幹部は、どこの農園からパーム油を調達し、誰が供給しているのか、つまりサプライチェーンを明らかにするよう努力すると伝えたと言います。

話し合いはその後も不定期で開催され、2020年2月、同社は調達方法に関する方針転換の決定を姉妹に伝えました。同社が調達するパーム油の15%は今もRSPOに認定されていない生産者でありますが、2025年までに100%持続可能な方法で調達すると約束しています。また、信頼できるNGOと提携し、小規模農家と協力して熱帯雨林の回復も支援するといいます。話し合いは半年後に再度行い、進捗状況とどのNGOを任命したかを伝えることになっています。

一定の成果が出ましたが、チェンジ・ドット・オーグでの少女たちの呼びかけは、今もなお継続中です。ケロッグの経営陣が約束を守るために、呼びかけを終わらせず、現在も賛同者を募っています。少女たちの思いを後押ししようという方は、ぜひ、こちらのページをチェックしてみては。
https://www.change.org/p/kellogg-s-stop-destroying-rainforests-for-cheap-palm-oil?use_react=false&expired_session=true

Source:https://www.bbc.com/news/
Photo:ecoist

(エコイスト編集部)

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