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環境汚染と無縁のサボテンレザー!?

皮はいかにして革になるか、ご存知ですか?答えは「なめし」という過程を経ることです。なめしによって、動物の皮は耐久性を備え、腐らないしなやかな革となり、衣服やバッグなど様々な商品に加工できるようになります。革製品に欠かせないこの「なめし」という工程ですが、実は、世界有数のなめし工場の集積地であるバングラデシュやインドの河川では、工場排水による水質汚染が問題となっています。

こうした問題に対して、私たちができることは、環境負荷の少ない方法でこの「なめし」を行っている革を選ぶことくらいです。すなわち、化学薬品を使う「クロムなめし」で作られた革ではなく、植物由来の成分を利用した「タンニンなめし」などの革を選ぼう、といった具合です。こうした革をエコレザーとも呼びますが、実際世の中に流通している革の80%はクロムなめしで作られているといわれています。

さて前置きが長くなりましたが、これから私たちは革に対してより環境負荷の少ない選択肢を選ぶことができそうです。それが、メキシコのスタートアップ企業Adriano Di Marti社が開発したサボテンで作った代替レザー”DESSERTO”です。代替レザーと言うと、合成皮革や人工皮革が思い浮かびますが、これらは便利ではあるものの、耐用年数が低く石油に依存する点などから持続可能な素材とはいえません。対して、DESSERTOはサボテン由来の強力な分子結合によって、最低10年の耐用年数と、摩耗や湿度に対する耐性の高さを誇ります。

このサボテンレザーを開発したのは、メキシコ出身のエイドリアンとマルテ。二人は長年働いてきた自動車、ファッション、家具などの業界が環境に与える影響に気付き、革の代替品を探すために会社を設立しました。調査とデザインに2年を費やし、2019年7月に商品が完成。10月にイタリアで開催された革や繊維の見本市リネアペッレでは早くも高評価を獲得。素材の柔らかさや手触り、色味などの点で、展示された持続可能な素材の中で最も高級ブランドでの使用に適していると評されたのです。

二人は、母国であるメキシコ全土でサボテンが栽培されていることと、栽培に水を必要としないことの2点に着目しました。現在使われている革に取って代わるだけの量を生産するためには、原料の安定的な供給が不可欠です。また、栽培するのにかんがい設備を作る必要がないというのも、持続可能な生産を実現する上で重要でした。

完全にオーガニックな農園で育てられたサボテンは、成熟した葉を6~8ヶ月ごとに収穫します。本体は切り倒さないので、その後も成長を待って葉の収穫が可能です。洗ってすりつぶした後に太陽光で三日間乾燥させた後、工場で有毒でない化学物質と混ぜ、成形していきます。販売価格は動物性の皮と同程度だと言います。

ミラノの見本市で話題をさらい、すでに多くの企業とのプロジェクトが進んでいるというDESSERTO。環境汚染と無縁のサボテンレザーを手にする日は、そう遠くないかもしれません。

Source:https://desserto.com.mx/adriano-di-marti
Photo:Desserto

(エコイスト編集部)

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