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売れ残りのパンが腸内環境を整える飲み物に

閉店間際のパン屋に行くと、商品が値下げされていますよね。パン屋としては売れ残りを出さないための苦肉の策ですが、それでも全てを売り切るのは難しいそうです。国や地域によってさまざまですが、残ったパンは慈善団体に寄付されたり、低価格の動物用飼料として再販売されたりしているそうです。

こうしたパンのフードロス問題は、先進国に共通の悩みとなっています。そこで、シンガポール国立大学(NUS)の研究チームはこの春、廃棄物となったパンをリサイクルする、これまでとは一風変わった研究内容を発表しました。その研究とは、パンを使って腸に優しいプロバイオティクス飲料を作るというもの。初めて聞いた人にはちょっと信じがたい、新しいフードロスの解決方法です。

パンを原料とするプロバイオティクス飲料の作り方は、お米を発酵させて日本酒をつくることやぶどうからワインをつくることを思えば、イメージしやすいかもしれません。まずは食パンを小さく切って水と混ぜます。その後、混合液を低温殺菌した後、プロバイオティクスと酵母を添加し、発酵するのを待ちます。プロセスの大部分はこれで終わりですが、ここまでで約1日を要するとのこと。完成した飲料は、クリーミーで少し泡立ち、甘みがあるとのこと。常温で6週間の保存が可能だそうです。

名前はまだありませんが、このパン由来の飲み物を考案したのは、NUSで食品科学を専攻する学部生。消費期限内に食パン1斤を食べ終えることができない、という日常の些細な悩みから、余ったパンを美味しくて栄養のあるものに作り変えることはできないか、と考えたのがきっかけだといいます。研究ではさまざまな種類のパンを試したそうですが、最終的に、スーパーなどで手に入りやすい食パンを原料に決めたといいます。

ちなみに、プロバイオティクスとは腸内環境を整えてくれる生きた微生物のこと。よく知られた乳酸菌やビフィズス菌などの体にいい菌を、まとめてプロバイオティクスと呼んでいます。研究チームによりますと、市場に出回っている、こうした体にいい菌を摂取できる飲料のほとんどが乳製品とのこと。乳製品をとることができない乳糖不耐症の人やビーガンは飲むことができないのが現状です。NUSの飲料は乳製品ではないので、こうした方々も腸内環境を整えるために飲むことができるといいます。

研究チームはすでに、この飲料の製造プロセスの特許を申請し、商品化に向けてのパートナーを探しているとのこと。フードロスへの対策と同時に、健康飲料市場のニーズに応えることができるこの新たな飲料が、私たちの手元に届く日はそう遠くないかもしれませんね。

Source:https://news.nus.edu.sg/research/
Photo:ecoist

(エコイスト編集部)

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