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次世代の輸送手段ハイパーループ

「フリュグスカム」という言葉を聞いた事、あります? スウェーデン語で「飛ぶのは恥ずかしい」「飛行機に乗るのは恥ずかしい」という意味の言葉で、英語では「フライング・シェイム」、日本ではドラマの番組名をもじって「飛び恥」などと略され、ネットで広まりました。では、なぜ世界的に、飛行機に乗るのは恥ずかしい、とする考え方が広がっているのでしょうか。

その理由は、乗客一人当たりのCO2排出量によるものです。飛行機は鉄道よりも、CO2排出量が約15〜20倍多いとするデータがあるのです。環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが、大西洋を飛行機ではなくヨットで渡ったのもこうした理由からでした。そして今やフリュグスカムの賛同者は、こうした一部の活動家だけに留まりません。航空会社であるKLMオランダ航空も、短距離路線の減便を通じて、飛行機のCO2排出量を減らしていくと宣言しているのです。

こうした社会的な動きとともに、世界各国でいま、超高速輸送システム「ハイパーループ」の開発が進んでいます。これは、低圧状態のチューブの中を浮遊した客室が高速移動するという次世代型の輸送手段です。理論的には、輸送にかかる消費電力は飛行機の約10分の1、従来の高速鉄道の約3分の1程度、時速は飛行機より約1.1倍、鉄道より約4倍速い速度を出せるといいます。電動式であるため、車両自体は二酸化炭素を排出しません。これらの利点から、短距離での飛行機利用の代替手段として導入が世界中で議論されています。

技術的な理論を発案したテスラのイーロン・マスク氏は、このハイパーループを実現するために、高速輸送技術を競うコンペティションを定期的に開催し、世界中の大学の研究チームなどが参加してきました。フリュグスカムの発信元となったヨーロッパからも多くのチームが参加し、2017年のコンペで優勝したチームはオランダでHardt社を設立。アムステルダムを中心としたオランダの大都市圏とパリやフランクフルトを結ぶネットワーク構想を計画しています。

Hardt社はこの春、北ホラント州と共同で実施した調査結果を公表。報告書によると、ハイパーループのネットワークが実現すれば、アムステルダムーパリ間を90分で行き来できるといいます。これは現在の鉄道の所要時間の半分以下、飛行機の直行便とはほぼ同時間だといいます。アムステルダムーブリュッセル間は現在2時間程度かかっていますが、1時間弱になるとのこと。輸送能力は1時間あたり片道20万人の乗客を運ぶことができるといいます。

飛行機短距離便の代替手段と考えられているハイパーループですが、実現可能性に疑問が残るという意見もあります。輸送技術の問題以外にも、高齢者や乳幼児が乗れるのか、緊急時の避難の方法、事業を軌道に乗せるまでの多額のコストなどさまざまな課題が指摘されています。Hardt社以外にも世界中で研究が行われていますが、専門家によると、成果が出るのは早くても2030年という見方をしています。実現までもうしばらく時間がかかりそうですが、近未来感あふれるデザインにクリーンな未来を期待してしまいますね。

Source:https://hardt.global/
Photo:Hardt社

(エコイスト編集部)

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