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砂漠で農業!?を可能にする技術とは

天候に成果が左右される農業は気候変動の影響を最も受けやすい産業といえるでしょう。集中豪雨や猛暑などをはじめ、世界各地で耕作物が異常気象により受けている被害は年々増加しているのは事実です。

一方で、こうした気候変動以前に、世界にはそもそも過酷な気候条件で作物の栽培に向いていない土地があります。川や湖がなく、自由に使える淡水が少ない場所。そうです、砂漠です。国土の大部分をそんな砂漠が占める中東のアラブ首長国連邦(UAE)では、点在するオアシスでの伝統的な農業以外に、砂漠への植林や海水の淡水化など、先進技術を駆使した農業研究が1970年代から行われてきました。現在、首都のアブダビには約24000の農場があり、その多くが近代的な灌漑設備と水耕技術を備え、最小限の水で農産物を栽培しています。

そんな隠れた農業先進国ともいえるUAEの首都アブダビに、次世代型の大規模農業研究施設が建設されることになったそうです。科学技術での農業の変革を目指す国内外のAgTech企業(※1)4社に対し、計1億米ドルを投資したアブダビ投資オフィスが4月9日に発表しました。4社は、乾燥帯での作物栽培、および気候変動や人口増加といった世界的な課題の解決につながる農業研究を進めるといいます。

4社のうちの1社、米国に拠点を置くAero Farmsは、世界最大規模となる8300平方メートルの屋内農場を建設します。同社の屋内農場は、太陽と土と農薬を必要とせず、土の畑で必要とされる水のたった5%で作物栽培が可能だといいます。水耕栽培と比べても、使用する水の量はおよそ6割。効率的に光合成を促すLEDライトと栄養素の’’レシピ’’により、1平方フィート(約930平方センチメートル)あたりの生産性は、土の畑の390倍にもなるといいます。同社は地元の作物を屋内農場で栽培する他、果樹や野菜の専門家やエンジニア、科学者を雇い、高度な農業研究に取り組みます。

また、UAEを拠点とする屋内農場企業Madar Farmsは、LEDライトでトマトを育てる研究施設を建設します。これは世界で初めてとなる商業規模の屋内トマト農場になる予定です。この施設では、同社が得意とするルッコラやカイワレダイコンなどマイクログリーンの栽培も拡大し、より多くの種類の作物を育て地元の食生活に貢献するということです。この他、米国の灌漑設備メーカーRDIとUAEの水溶性肥料メーカーRNZも、それぞれの施設で作物の生産性を高める高度な研究に取り組みます。

4社に投資をしたアブダビ投資オフィスの事務局長は「長期的な目標は、地域的および世界的に重要な課題の解決に貢献するイノベーションの発展を支援すること」と話します。UAEの周辺国には、国連が発表した今後爆発的な人口増加が予測される9カ国に名を連ねる、インドやパキスタン、エジプト、エチオピアがあります。4社の研究は、気候変動と人口増加による食糧課題への活用が期待されています。

※1
AgTech:アグテック。農業(Agriculture)と技術(Technology)を組合せた造語です。この言葉の定義・解釈は様々あり、人工知能やIT、ロボティクスをはじめとした先端のテクノロジーを農業に応用させること、あるいは応用した効率的な農業を指すこともあります。また、農業とITテクノロジーが重なり合う事業領域やIT技術に特化した農業分野のスタートアップのことを指すこともあります。

Source:https://aerofarms.com/2020/04/09/
Photo:Aero Farms

(エコイスト編集部)

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