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雲を大きくしてサンゴの白化を防ぐ

色とりどりのはずのサンゴ礁が真っ白⁉︎になってしまう「白化」という現象が、地域によっては急速に進行しているのです。サンゴの体内に住む色素を持った植物プランクトンが、気候変動や海の汚染によって減少し、サンゴ自体が白く変わったように見えることをいいます。

これは、温暖化による長期的な海水温の上昇や、海水温が平年より上がる短期的なエルニーニョ現象が原因だと考えられています。世界最大のサンゴ礁が広がるグレートバリアリーフでの被害は深刻で、シドニー海洋科学研究所とサザンクロス大学の研究チームはこの春、サンゴを守る新たな試みに挑戦しました。

チームが試みたのは、クラウド・ブライトニングと呼ばれる、人工的に雲の表面積を大きくし、より多くの太陽光を跳ね返す技術。雲は、凝結核という空気中のちりなどの粒を核とした水滴の集まりです。この技術では、海水から作り出した塩の微粒子を雲に向けて噴霧することで、この凝結核の量を増やし、雲を拡大させることができるといいます。

今回の実験は、クイーンズランド州の港湾都市タウンズビルの海岸から100 km離れたブロードハースト・リーフ近くで実施。大型船に噴霧器を載せ、目標の10分の1の規模で仮説を検証しました。研究チームの報告によりますと、成果はドローンと調査船を使って確認。太陽光を反射する雲の大きさを拡大する塩の結晶を毎秒数百兆個作り出すことを確認しました。

研究チームは来年、規模を3倍にしてテストをする予定で、再来年には10倍に増やすといいます。これによって、400平方kmの範囲をカバーすることができるとのこと。また、今後4年間にわたり、複数の機関の研究者が、この人為的な技術によって起こり得る環境リスクも調査します。海洋、陸上における降雨のパターンの変化などが考えられます。

グレートバリアリーフでは、この5年間で3度の大規模な白化が発生。AFP通信によりますと、全長2300キロに及ぶサンゴ礁の3分の1が白化現象に見舞われているといいます。しかも今年2月の海水温は、1900年の計測以来、過去最高を記録。グレートバリアリーフを構成する北部、中央部、南部の3地域すべてで白化が起こるのは初めてとのことです。

ちなみに、植物のように思われがちなサンゴですが、実は動物です。白化によって減少する共生植物プランクトンは褐虫藻(かっちゅうそう)といい、光合成で作り出した栄養をサンゴに与えています。逆に、褐虫藻は動物プランクトンに食べられないよう硬いサンゴに守ってもらったり、サンゴが出した排泄物や二酸化炭素を貰ったりすることで共生しています。美しいサンゴ礁は人間にとっての観光資源である前に、海の中の生態系の一部であるということを忘れないようにしなければいけません。

Source1:https://www.sims.org.au/news/96/marine-cloud-brightening-for-the-great-barrier-reef
Source2:https://www.scu.edu.au/engage/news/latest-news/2020/
Photo:ecoist

(エコイスト編集部)

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