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ブドウの種をアップサイクル

約8000年前から飲まれていたと言われ、人類とは古い付き合いのワイン。その関係をますます深くする研究が、オーストラリアで行われているそうです。

研究は産官学の連携プロジェクト。サプリメントメーカーのスイスウェルネス社を中心に、食品廃棄物の有効利用法を研究する政府系シンクタンクのファイト・フード・ウェイスト研究センター(Fight Food Waste Cooperative Research Center)とスウィンバーン工科大学が協力し、ワインの製造工程で廃棄物となるブドウの種から高機能な栄養補助商品を作ろうとしています。商品が具体的にどのようなものになるかはまだ発表されていませんが、種からエキスを抽出し、健康や美容に効果的な商品になりそうとのこと。

ブドウの種の健康成分については、グレープシードオイルという名で聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。主成分は体内では作ることのできない必須脂肪酸のリノール酸とオレイン酸。コレステロールを下げたり、生活習慣病を予防したりするのに効果があるとされています。豊富に含まれるビタミンEの抗酸化作用によってアンチエイジングを期待できるとして、化粧品などに多く使われています。

プロジェクトでは、スウィンバーン工科大学が技術面で協力。これまで、技術的な実現の可能性や生産効率を最適化するための方法を検証してきました。今後は商業化に向けて、商品製造に必要な純度と量を安定的に生産する試験機を開発していくとのことです。生産技術に関しては、ブドウの種子からポリフェノールを抽出する新しい方法を開発したスタートアップ企業のビリディ・イノベーションズも参加しています。

ファイト・フード・ウェイスト研究センターは流通面をサポート。ヤラバレーやモーニントン半島、ベラリン半島と言ったオーストラリアの中でも有数のワイン生産地とのサプライチェーンを構築しました。2020年収穫のブドウからエキスの抽出を始めるといいます。

ところで、素材や特性を生かして廃棄物を価値のある商品に作り変えることをアップサイクルと呼びますが、今回もその一つといえます。エコイストでも過去にステンレス製の剃刀の歯をスプーンやフォークに作り変える事例を紹介しましたが、これまでは生活雑貨やファッションの分野での取り組みが中心的でした。

しかし近年では、今回紹介したブドウの例のように、食品の世界にもアップサイクルの取り組みが広がっているようです。そもそも形の悪い野菜や果物を加工品にして販売することもアップサイクルの考え方。食品廃棄物というと堆肥にしてしまうのが一般的かもしれませんが、アイデアによって付加価値が付き、世の中に流通させられるものがまだまだあるかもしれません。

Source:https://fightfoodwastecrc.com.au/
Photo:ファイト・フード・ウェイスト研究センター

(エコイスト編集部)

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