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誰もが当たり前に手を洗える環境を

コロナウイルスの蔓延で、著名人が正しい手の洗い方を紹介する動画がYouTubeなどで一時期流行しました。しかし、開発途上国に住む人の多くは、ウイルスの感染を防ごうとしても手を洗うことすら満足にできません。世界人口の40%が家庭で基本的な手洗い設備を利用できない状況にあるのです。

こうした状況を改善しようと、日本の建材・住宅設備機器メーカーのLIXILが、水道が利用できない家庭でも水道で手を洗っているかのような衛生的な手洗いを可能にするソリューション“SATO Tap”を開発しました。2つのプラスチック部品を組み合わせ、水の入ったペットボトルを逆さにセットするだけで簡易的な手洗い場が出来上がる製品です。シンプルな設計のため、金型や部品の生産コストを最小限に抑えることができます。同社は、より多くの人たちの持続的な衛生習慣の改善につなげるために、将来的には低価格で販売し広く普及させたいと考えています。
LIXILのソーシャルビジネスであるSATOでは、開発途上国向けに低価格で簡易的なトイレシステムを開発し、これまでに380万台以上を出荷してきました。衛生ソリューションの提供を通じて、同社は38カ国以上、1,800万人以上の人々の衛生環境の改善に貢献してきた実績があります。

エンドユーザーや様々なステークホルダーからの意見をふまえ、開発途上国で利用されている既存のソリューションを分析した上で、独自のデザインが生まれました。水をセットするベースにはさまざまな大きさや形状のペットボトルに合うよう設計され、石けんホルダーも付属しています。できるだけ手を触れず、腕や肘で操作する設計となっているため、感染リスクの低減にもつながります。上下水道が整っていない地域では、二人一組でバケツで水を掛け合ったりなどして手を洗っているため、水の無駄が出てしまうことが課題となっています。SATO Tapは手洗いに必要な水量を確保しつつ、一度に出る量を極力おさえられるためそのような課題の解決にもつながります。

同社は、“SATO Tap”を通した手洗い習慣の普及に向け1億円相当を拠出し、最も必要としている人びとに迅速にSATO Tapを届けられるよう、生産量や拠点を拡大していきます。商品の提供するだけでなく、既存のパートナーと活動の領域を拡大していきます。例えば、これまでアフリカの三ヵ国で衛生的なトイレ市場の創出に向けて活動をともにしてきたユニセフとのパートナーシップ「Make a Splash!」では、COVID-19 の感染拡大防止に向けて手洗い・衛生分野での活動を拡大していきます。官民双方の既存のネットワークとサプライチェーンを最大限に活用して手洗い設備の普及活動を進めるなど、多岐にわたる活動を展開します。

LIXILはインドを皮切りに生産を開始し、今年9月よりパートナー向けに先行して提供、一般販売は2021年初旬までに開始する予定です。将来的にはアフリカなどその他の市場でもライセンス生産を行う企業と協働していきます。最も必要としている地域の人びとに迅速にお届けし、2025年までに1億人の衛生環境を改善することを目標としています。

“SATO Tap”を考案したのは、米国に住み、自身もコロナウイルスに感染したという同社の男性社員。きっかけは、SATOブランドがビジネス展開をしている地域でもコロナウイルスが流行し、多くの人が家庭で手洗いをできない状況を改善したいと思い立ったことでした。男性はすぐにインターネットで既存の手洗いの方法を調査するとともに、アジアやアフリカでSATO事業に携わる同僚にも状況を聞き、新たな手洗いの手段を開発しようと決めました。米国ではロックダウンが発動され、外出もままならぬ状況でしたが、3Dプリンターを所有する地元の企業の協力を得て、完成にこぎつけました。

世界的なコロナウイルスの流行は多くの悲劇を生んでいますが、国を超えた人と人との連帯感を強くしたことも事実です。これを機会に、これまで遅々として進まなかった開発途上国の衛生環境の改善が一気に進み、コロナウイルスだけではない多くの感染症や下痢などの問題が解決に近づくことを期待します。

Source:「SATO Tap:新しい衛生ソリューションで手洗いをすべての人に」
https://www.lixil.com/jp/stories/stories_19/
画像提供: LIXIL


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