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ネット・ゼロへの移行を進めるイニチアシブが発足

コロナウイルスの影響により、世界規模で経済活動が停滞し、温室効果ガスの排出量が減少したといわれています。世界各地で「空気がきれいになって山が見えるようになった」「川の水が澄んだ」といった報告がなされ、経済活動と地球環境のつながりが明らかとなりました。これはつまり、これまでの経済活動が「持続可能な開発」にはなっていなかったということを示しているともいえそうです。

そんな世界の経済に大きな影響力を持つグローバル企業9社が7月、温室効果ガス排出量の実質ゼロ(ネット・ゼロ)への移行を進めるための新たなイニシアティブの設立を発表しました。イニシアティブの名称は「Transform to Net-zero(ネット・ゼロへの転換)」。各社は2050年のネット・ゼロを実現するため、現行の環境対策に関する宣言を実行に移し、事業を変革していきます。

参加企業はマイクロソフト、スターバックス、ナイキ、APモラー・マースク(Maersk)、メルセデスベンツ、ダノン、ユニリーバ、ナチュラ(Natura&Co)、ウィプロ(Wipro)の9社。今後、他の企業の参加も求めていくといいます。

参加企業は、自社だけでなく、原料の供給者や消費者とともにバリューチェーン全体を通じて、温室効果ガスの削減を進めることを誓約しています。さらに、各社は通常の事業運営にとどまらず、温室効果ガスに関わるデータの精度と利用可能性の改善も進めます。仮にそれぞれの企業が開発したデータ分析などの手法が、他の企業の環境改善にも役立つと考えられる場合は、それらをだれもが利用できるように、情報を開示することを約束しています。イニシアティブは、単独の企業が目標を達成するのではなく、すべての事業者が一体となった大規模な変革を目指しているのです。

各社は、政府当局や業界団体の活動にも積極的に関わり、ネット・ゼロ達成への法整備を進めるためのロビー活動も行っていきます。最終的に、パリ協定が掲げる「1.5℃」目標に整合する新たなビジネスモデルの創出を目指すといいます。また気候変動の影響を受けやすいと考えられる低所得層が不利を被らないよう、すべてのジェンダーと人種、職を持った人々のために、公正であることも行動原則の一つとして定めています。

イニシアティブの事務局を務める非営利団体Business for Social Responsibility(BSR)のCEOアーロン・クレイマー氏は「イニシアティブは、企業が自らのビジネスを成長させ、ネット・ゼロ経済を形成するための実践的なロードマップを提供する」と強調します。ネット・ゼロは企業が単独で成功したとしても環境にとっての影響は取るに足らないものでしかなく、国家規模、地球規模で達成して初めて効果が出る壮大な挑戦です。イニシアティブを立ち上げた企業9社に続き、世界中の企業がネット・ゼロを達成した時こそ、この取り組みは成功といえるのです。イニシアティブの発足は他人事ではなく、自分が所属する組織もこれに続くものという意識で接することが求められているといえます。

Source:https://transformtonetzero.org/
Photo:Adobe Stock

(エコイスト編集部)


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