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電動ごみ収集車ニコラ

自動車メーカーといえば名だたる大企業、という時代ではなくなりつつあります。EV(電気自動車)スタートアップ企業が世界各国でひしめき合い、新たなサービスを提供しようとしのぎを削っています。際立った成功例を一つあげるとするならば、小型の水陸両用EV車を展開しているFOMMをご存知でしょうか。日本の大手自動車メーカースズキの元社員が設立したスタートアップの自動車メーカーです。水害の多い東南アジアで売り上げを伸ばしています。

そんな数多ある自動車スタートアップ企業ですが、米国にも注目を集める一社があります。トラックに注力したニコラ・モーター社です。同社は8月、米国の廃棄物処理企業リパブリック・サービス社と契約を結び、ごみ収集用の電動トラック計2500台を製造する計画を明らかにしました。欧州向けに設計していた、EVとFCV(燃料電池車)のハイブリッド仕様の大型トラックをベースに製造し、最高出力は1000馬力を想定。現在運用されているディーゼル車や天然ガス車の3倍ほどの馬力となり、荷物を満載した状態でも、難なく坂道を登ることが可能とのこと。環境に優しいごみ収集車の実用化へ期待が膨らみます。

EVやFCVの実用化に際して、気になるのが航続距離。同社によりますと、計画中のトラックでは、一度の充電による航続距離は最大240km。決められたルートを巡回するごみ収集車であれば、十分な距離と言えます。また、ごみ収集という業務上の特性に対しても、電動化のメリットは大きいといいます。早朝の住宅地を走る際の騒音を低減できることやアイドリングがなくなること、頻繁に停止と発進とを繰り返す必要があるため、電気自動車やハイブリッド車に特有の回生ブレーキ(※1)による発電を通じて、エネルギー効率を高めることができます。今回、同社と契約を結んだリパブリック・サービス社のジョン・ヴァンダー・アーク社長は、従来のガソリンエンジンからの切り替えにより、大幅な運用コストの節約が可能になるとの見方を示しています。

ところで、ニコラという自動車メーカーの名を今回初めて聞くという方も多いかもしれません。それもそのはず、同社の主力製品は商用車。米国の自動車スタートアップ企業といえば誰もがテスラを連想するかと思いますが、それは大衆向けの乗用車を製造しているからです。テスラに比べて一般の知名度は低いニコラですが、商用車市場での投資家や業界内での注目度は高く、「第二のテスラ」との呼び声が高くなっています。

ニコラが業界の注目を集めるのには理由があります。それは大手企業3社とのパートナーシップ。3社とは、欧州最大手のトラックOEM企業CNH Industrial、同じく欧州最大手の商用車サプライヤーのボッシュ(BOSCH)、太陽光発電事業を国際的に展開する韓国のハンファ(Hanwha)。製造工場や部品の流通網、先端技術に定評のある大手企業と協力することで、コスト至上主義の商用車という市場で存在感を示すことができているのです。

今後、ニコラ・モーター社は2022年に路上テストを実施、2023年には出荷を開始するとのこと。出荷台数は最大で5000台まで想定しているといいます。ごみ収集車の電動化はもはや世界の潮流です。日本では、焼却施設に運んだごみを燃やして得られるエネルギーで充電するEVごみ収集車など、エネルギーの循環が目に見えてわかる仕組みも整えられつつあります。ごみ収集車業界の革新的な変化に、この数年は目が離せません。

※1
回生ブレーキ:通常、電源入力を変換して駆動回転力として出力している電動機(モーター)に対して、逆に軸回転を入力して発電機として作動させ、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収または消費することで制動として利用する電気ブレーキの一手法。発電時の回転抵抗を制動力として利用するもの。

Source:https://nikolamotor.com/press_releases/
Photo:Nikola Corporation

(エコイスト編集部)


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