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翼を持った次世代の貨物船

海運は他の輸送手段に比べ、一度に大量の物資を運ぶことができ、単位輸送当たりのCO2や大気汚染物質の排出量が少ない、環境にやさしいエコな輸送モードです。しかし、その一方で新興国の発展による世界経済の成長に伴い、全世界の海上貨物量は増加を続けています。その結果、大気汚染の原因ともなる硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などが増加しています。そのため、国際海事機関(IMO)では、2016年10月に船舶の燃料油の硫黄分濃度を現行の3.5%以下から、0.5%以下とする国際的な規制強化が定められ、2020年1月から始まりました。この規制により、従来使用していたC重油(※1)がそのままでは使えなくなるため、低硫黄燃料油(※2)への切り替えが目先の対応となるようですが、低硫黄燃料油は従来使用していたC重油より割高のため、海運事業者のコストアップは避けられないようです。

しかし、2020年9月に発表されたオーシャンバード(Oceanbird)が実用化されれば、風だけで世界の海を航海することができるかもしれません。オーシャンバードは、スウェーデン王立工科大学(KTH Royal Institute of Technology)と海事コンサルタント会社SSPA、船舶設計や管理などを手掛けるWallenius Marine社が開発した次世代型の自動車運搬船です。

オーシャンバードは高い環境性能が特徴で、船の屋上に取り付けられた4つの翼(帆)を使い進むことができます。大西洋を横断するのに、従来の燃料で運行する船は7日、オーシャンバードは約12日かかるため、スピードという点では劣りますが、従来の燃料と比較すると、温室効果ガスの排出量が90%削減できるそうです。動力は風だけではなく、安全対策と港への出入りのための補助エンジンも装備されるそうで、詳細は明かされていませんが、クリーンエネルギーを利用しているとのこと。

また、オーシャンバードは船の造りにも特徴があります。まず、オーシャンバードは、長さ200メートル、幅40メートル、翼(帆)の高さは80メートルで、船の全体の高さは海面から105メートルもある船です。105メートルもあると、橋の下は通過できないし、強風の際には危険ですよね。しかし、翼(帆)は45メートルまで縮むことができる伸縮性があるため、問題ありません。

オーシャンバードは、最初は自動車運搬船ですが、このコンセプトはクルーズ船などにも適用できると述べられています。また、オーシャンバードは2021年末までに受注の準備が整い、2024年末に最初の船が引き渡される予定とのことです。近い将来、オーシャンバードが大海原を走っている姿が見られそうで楽しみですね。

※1
C重油:油精製でガソリンやナフサ、灯油などを抽出した後の残渣油からなる高粘度の石油製品の1つ。
※2
低硫黄燃料油:硫黄分0.5%以下のMGO(Marine Gas Oil)、軽質油と重質油を混合して作るブレンド油など。

Source:https://www.oceanbirdwallenius.com/
Photo:Wallenius Marine

(エコイスト編集部)


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