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進歩を受け入れることで過去を守る

アストンマーティン、フェラーリ、ジャガー、ロールス・ロイス、フォルクス・ワーゲン、マクラーレン…錚々たる欧州の自動車メーカーですが、こうした車を熟知した技術者たちが結集し、夢のような電気自動車(EV)を作っているのをご存知でしょうか?

プロジェクトを進めるのは、英国の自動車エンジニアリング会社ルナズ・デザイン。世界で初となるEV化したロールス・ロイスの発売を8月に発表しました。同社がEV化するのは現行のモデルではなく、クラシックカーのファントムVとシルバークラウドの2車種。ファントムVは1961年式で、1990年代まで世界最高級の車として名を馳せたモデル。シルバークラウドは1950年代に製造が始まったモデルで、当時のロールス・ロイスの古典的技術の集大成にあたる名車と言われています。

同社はモーターの力を駆動部に伝える電動パワートレインを独自に設計することで、これまでにもクラシックカーのEV化を手掛けてきました。HPには今回の2車種の他、ジャガーXK120とベントレーS2フライングスパーが掲載されています。いずれも歴史に名を残すクラシックカーで、馬車を思わせる優雅で洗練されたデザインには、大量生産された現代の車にはない気品が漂っています。

同社の理念は「クラシックカーの未来は電動である。我々は進歩を受け入れることによって過去を守る」。ドイツの個人ブログサイト「Watch I Love」は、ロールス・ロイスのEV化の発表の詳細とともに、ルナズ・デザイン創設者の言葉を紹介しています。同ブログによりますと、創設者のデビッド・ローレンツ氏は「クラシックカーの美しさと現代の車のダイナミクスと使いやすさを兼ね備えた車を作りたい」とビジョンを示しています。

ルナズのルナとは、デビッド氏の愛娘の名前。デビッド氏はある時、娘が運転できる年齢になった時に、メルセデスベンツ190SLのような名車がこの世になくなっていることを想像し、悲劇だと感じたといいます。そしてそれは現実になりつつあります。時代は温室効果ガスを出さないサステナブルな電気自動車の花盛り。クラシックカーの美しさに惹かれる人々の感性とライフスタイルも自ずと電気自動車を選びます。デビッド氏はクラシックカーのEV化を決意し、未来の人々もクラシックカーを楽しめるようにとの思いを込め、娘の名前を社名にとったといいます。

古き良きものを長く使い未来に残す。そんな言葉の象徴となるようなものづくりが英国で行われています。EV化という選択は、クラシックカー愛好者にとっては受け入れがたいものかもしれません。しかし、デビッド氏の熱意に応じて、デザイナーやエンジニア、電気技術者ら多くのエンジニアがルナズに集まって来ているのも事実です。彼らのものづくりは、往年の名車を一層と輝かせる夢に溢れたものであるように思います。過去の象徴だった車がこれからの時代の象徴になる。そんな夢のあるプロジェクトが広く知られることを期待します。

Source: https://lunaz.design/production/rolls-royce-phantom-v
Photo: Lunaz Design

(エコイスト編集部)


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