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持続可能なパーム油生産レポート2019

パーム油は世界で一番多く使われている植物油ですが、そう言われても、聴き馴染みのない人もいらっしゃるでしょう。パーム油に由来する原材料は、実際の原料表示などの表記では、植物油・植物油脂・ショートニングといった名称で表記されているため、パーム油という名称で知られる機会は一般的にありません。ですが、パーム油は食品から洗剤、石鹸など私たちの生活には欠かせないものとなっています。また、数多くある植物油の中でも、パーム油が世界一消費される植物油である理由は、さまざまな商品に利用できる汎用性の高さと、収穫量が桁外れに多く、価格が安いためです。そのため、世界中のパーム油需要は年々増加している状態です。

ここまで聞くと、パーム油に関する問題は特に無さそうに聞こえますが、パーム油の生産に伴う開発は、東南アジアの熱帯雨林破壊をもたらす主な原因として指摘されています。森林破壊によって、森に住む野生動物や人々のすみかや食べ物、命を奪っています。また、パーム油を生産するための農園では、児童労働や強制労働問題も問題になっているなど、パーム油生産を巡っては問題が山積みとなっている状況です。

パーム油をめぐる問題を聞くと、「パーム油をやめて、他の植物油脂に切り替えるべき」と考えてしまいますが、他の植物油脂の増産によって代替することは、そのために必要となる新たな耕作面積などを考えれば非現実的であります。また、生産国の社会・経済発展の主要な柱のーつであるパーム油生産に関わる何百万人もの雇用をどうするかといったことなど、新たな問題を生み出し、問題解決にほとんど寄与しないそうです。パーム油自体には全く問題は無いのですが、パーム油の栽培方法に問題があるのです。

パーム油の生産をめぐる問題解決と今後もパーム油を使い続けるために、環境や地域社会に配慮したパーム油を生産していこうと、「RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil)」、日本語で「持続可能なパーム油のための円卓会議」という国際組織が2004年4月に設立されました。RSPOは、生産農家、農園を所有する企業、油を加工する企業、パーム油で食品や洗剤などを作る企業、それを売るスーパーなどの小売業、NGOなど、パーム油の生産と利用をめぐるさまざまな企業や団体、個人がメンバーとして参加し、パーム油の持続可能な生産と利用を目指しています。

さて、RSPOが設立され、どれくらい持続可能なパーム油が生産されるようになったか気になるところです。RSPOは9月中旬、持続可能なパーム油生産レポート2019年を発表しました。内容は以下の通りで、レポートでは認証パーム油(CSPO)が大幅に増加したことを強調しています。ちなみに、レポート全文はSourceのURLから見ることが可能です。

●2019年1月1日から2019年12月31日までに、合計707万メートルトンのCSPOが市場で購入され、全体の売上高は13%増加。

●世界的に、RSPO認定面積の合計は2019年末までに17か国で9%増加して420万ヘクタールになり、認定パーム油工場は1,519万トン認証パーム油(CSPO)と、338万トンの認定持続可能なパーム核(CSPK)を生産。それぞれ、前年比でCSPOは13%、CSPKは11%の増加。インドネシアとマレーシアは依然として最大のアブラヤシ生産国であり、RSPOの認証地域全体の81%をカバーしている。

RSPOの2019年レポートによると、持続可能なパーム油生産が増えてきていることが分かります。しかし、これまで犠牲にしてきた命のうえに、生活があることを忘れてはいけません。私たち消費者は、RSPO認定マークがついた製品を選んだり、購入金の一部が生産国の森林を保護するために使われる商品を購入したりすることで、持続可能なパーム油に貢献することが可能です。遠い国のことと無視せずに、生活に欠かせないものである以上、関心をもって行動していきたいですね。

Source:https://rspo.org/news-and-events/news/press-release-positive-growth-for-sustainable-palm-oil
Photo: Adobe Stock

(エコイスト編集部)


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