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未来の車は“木”でできている!?

 未来の車は何でできているでしょう? 鉄? それともプラスチック? もしかすると、「木」でできているかもしれません。

 10月24日~11月4日まで開催された「東京モーターショー2019」で、環境省ブースに「ナノセルロースヴィークル(NCV)」というスポーツカーが展示されました。この車は、木材や植物を原料とする新素材「CNF(セルロースナノファイバー)」を全面的に採用し、車体の軽量化を実現しています。

 CNFは、木材や植物から取れるパルプなどを化学的・機械的に処理することで、10億分の1メートル(ナノメートル)まで微細化した繊維です。CNFはすべての植物細胞壁の骨格成分であり、植物の繊維をこれ以上不可能というレベルまで細かくほぐすことで得られます。重さは鋼鉄の5分の1に対して、5倍以上の強度を持つことから、次世代の高機能材料として期待されているのです。車の部品などに多用される金属のほか、内装部品などに使用されるプラスチックや、窓に使われるガラス素材の代替素材として活用できるそうです。

 NCVでは、CNFをボンネットやルーフパネル、バックドアガラス、バッテリーキャリアなどに採用。多くの部品ではCNFはプラスチックなどと混ぜて成形していますが、ボンネットなど一部の部材は100%CNFで成形し、部品単体では最大で5割程度、車体全体で1割以上の車体の軽量化を実現しました。ハイブリッドカーなどの内燃機関を搭載した車の場合、走行段階でCO2排出削減を実現できるようになるほか、電気自動車(EV)の場合は航続距離の延長が可能になります。また、素材製造段階から廃棄・リサイクル段階までのライフサイクル全体で、CO2排出量を約1割、削減することが期待できるそうです。

 この車は、環境省からの委託事業として、22の大学・研究機関・企業からなる研究チーム「NCVプロジェクト」が開発しました。京都大学や東京大学、産総研などの研究機関や、デンソーやアイシン、宇部興産などの企業が参加している研究チームはCNFを活用することで、2020年に自動車で10%程度の軽量化を目標としており、CNFを採用した自動車部品などの開発や評価、実用化のための実証実験などを進めています。

 また、CNFの材料に間伐材を使用すれば、日本の林業の活性化にも繋がりますが、実はCNFは木材だけでなく、あらゆる植物から作ることが可能なのです。野菜の切れ端や使用済みの割り箸などのごみからも抽出できるため、フードロスやごみ問題などの解決にも役立つかもしれません。軽くて、強くて、持続可能と、まさに夢の材料であるCNF。実用化される日が楽しみです。

Sauce: https://www.env.go.jp/press/107322.html
Photo: ecoist

(エコイスト編集部)

2019.11.05