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浜名湖の厄介モノから “アップサイクル”で染料に

 静岡県の浜松市と湖西市にまたがる浜名湖は、うなぎや牡蠣の養殖で知られているほか、ボートやヨットなどのマリンスポーツも盛んです。近くに砂丘や鍾乳洞もあるため、観光スポットとしても人気があるエリアです。

その浜名湖では近年、アオサが大量に発生し、生態系に悪影響が出るなど問題となっていました。浜名湖は海水と淡水が混じり合う汽水湖であるため、他の汽水域と同様に、独自の生態系を持つことで知られています。ところが、生活排水などによる影響で特定の植物プランクトンが急激に増殖する環境となり、アオサが大量発生するようになりました。ここ数年はそのアオサが湖底にたまり、腐敗が進むことで、生態系を脅かすようになりました。実際に、2016年にはそれまで平均して189~397tあったアサリの月漁獲量が100t未満に激減するなど、アオサの増加が地域の経済活動にまで影響するようになりました。

 日本ではアオサというと、味噌汁などに使う食用をまずはイメージしてしまいますが、浜名湖で繁殖していたアオサは「アナアオサ」という種類で、残念ながら食用には向きません。浜辺に漂着したアオサが腐ると悪臭の原因となり、周囲の生活や観光にも悪影響を与えます。処理をしようにも集めたアオサは焼却処分以外の処理方法がなく、地元では遂に「厄介モノ」とまで呼ばれるように。

 そんなアオサを何とかできないか、と考えたのが地元の染色工房「ファブリック鈴忠」の鈴木さんでした。鈴木さんはアオサを“アップサイクル”し、染料として活用しようという挑戦を始めました。そして、その鈴木さんの挑戦に共感した、地域の活性化を目指しているクリエーター集団「SPUIT(スポイト)」が、鈴木さんと共に「廃棄物から、あたらしい色をつくろう。」プロジェクトを立ち上げました。その第一弾として、アオサを染料の原料として使用した新色 「アオサ ライト グリーン」 を発表しました。鈴木さんと協力して開発したアオサ ライト グリーンは、悪臭を放つアオサから作られたとは思えない、爽やかな明るい緑色です。

 プロジェクトはまず、ファッションブランド「ko haction」による、Tシャツやワンピースなどの洋服や、クッション用の染料として展開されました。今後は和紙や食器、家具などの染料としての利用を開発するほか、染め物体験などのイベントや学校教育などで、利用していく方針だそうです。

迷惑な浜辺の漂着物をただ燃やして捨てるのではなく、染料の原料として再利用する。不要なものに、新しいアイディアを加え、新しい価値に生まれ変わらせる“アップサイクル”というサステナブルな考え方で、浜名湖の「厄介モノ」が、浜名湖の新名物として生まれ変わろうとしています。

Photo:ユニーク地産プロジェクト  SPUIT

(エコイスト編集部)

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