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エコロジー的思想のススメ

今回ご紹介する1冊は立花隆さんの「エコロジー的思想のススメ」です。著者は本書の中で、今後起こりうる様々な危機に対処しそれを乗り越えていくために我々が身に付けるべきものはエコロジー(生態学)的な思考であると述べています。

生態学の名付け親である生物学者E・ヘッケルは生態学(エコロジー)を「生態学は生物と環境及び共に生活する者との関係を論ずる科学である。」と定義しています。

生態学は自然が本来持つシステムを活かし、そのシステムの中に人類が開発した技術をいかに取り入れるか、どのような技術を発展させていくべきかという知識を与えてくれます。自然が本来持っているシステムについて理解し、そのシステムを活かさないことには本当の技術の進展と呼ぶには相応しくないのではないでしょうか。

本書の中では我々の命の源でもある海や川、大気、土壌などの自然がそれぞれ持つ循環システムと、人間の行動が自然に与える影響について詳しく説明されています。ここでは、その一例としてプラスチックをご紹介。プラスチックは軽く使い勝手が良くこれまでに大量生産・消費されてきましたが、破棄されると自然に分解されることはなく、処分の為に熱を加えると有害な物質を発生させてしまいます。破棄されるプラスチックが増えていくことで大気の汚染だけでなく、海底や土壌に埋もれることによって、海や土壌がもつサイクルを破壊していくことに繋がってしまうのです。

近年、今までには経験したことが無いような大型台風や豪雨などの自然災害が日本を襲っています。本書の中に「人間はこれまで、社会のシステムに自然をその一環として取り入れて考えることをしなかった。」との記述があります。驚くべきことは、この本は30年前に出版された書籍です。30年も前に著者は自然と共存することをおざなりにし、人類の利便性や生産性のみを考え暴走しているという警鐘を鳴らしていたのです。

自然が持つサイクルは短期間で変化・改善するものではなく、人類の命とは比較出来ないほど長いスパンでその営みが繰り返されていきます。私たち一人ひとりが「人類も自然の一員である」ということを自覚しなければならないフェーズを迎えました。人類と自然の適切な関係について、この本から学び、普段の生活を見直すきっかけにしてはいかがでしょうか。

書評:長谷部さちこ

(エコイスト編集部)

2020.04.25

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